初心の趣

カメラ初心者が石川県を中心に撮った写真をのんびりと綴っています。

中島町には「駅名」と「駅名板に書かれた名称」が違う駅がある

SEO的にペナルティを受けそうな記事のタイトルをつけてしまったが、その文言のとおり、実際の駅名と、駅のホームにある駅名板に書かれた名称が異なっている駅が、中島町にあるそうだ。

駅名板とは、駅のホームなどに見られる現在いる駅の駅名が書かれた立て看板のようなもので、よく右下や左下に次の駅や前の駅の名前が小さく書かれていたりするものだ。

電車に乗っていて、車窓からその駅名板を目にして「あ、降りる駅だ」となるあの看板だ。

それが実際の駅名と違うとはどういうことか、一度確認したく、現地に足を運ぶことにした。

ちなみに中島町は石川県七尾市にある。以前は鹿島郡中島町であったが、2004年に田鶴浜町や能登島町と一緒に七尾に吸収合併されている。食べ物でいえば牡蠣、文化では国指定重要無形民俗文化財に認定されている「お熊甲祭」(おくまかぶとまつり)が有名だ。余談だが、中島町は自分の祖父母が住んでいた、My「田舎」だ。

 

ただ、駅名板だけを撮りに行って果たして画になるのか不安であった。そのため、今回は駅名板ならびに、その駅から見える「空」を撮ろうと決めて出かけた。

安宅の関で空を撮って以来、空の写真に目覚めてきたのだ。

 

いざ、のと里山海道を使って中島町

むかしは有料道路、現在無料の「のと里山海道」(のとさとやまかいどう)を、車を走らせ向かった。速い人なら中島町まで1時間くらいで着くらしいが、自分は現在、安全運転&エコ運転派なので1時間半から2時間くらいかかる。

道中、ぶっつけ本番で駅の空を撮ることにも不安を覚え、一度適当なパーキングに停めて、そこで空の撮影の練習をしてみることにした。

いや、正確には練習したくなった。それくらい、その日はよく晴れて、空が青かった。

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志雄(しお)パーキングに停まった

 石川県羽咋郡宝達志水町柳瀬にある。

今浜インターチェンジと千里浜インターチェンジの間あたりだ。

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ここが駅ならこの「志雄」の看板が「駅名板」に当たるのだろう

この写真でもわかるように、所々雲はあるが空は青い。

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空だ

所々雲が多いのは列島に台風が近づいていたからだ。

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飛行機雲も見えた

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こうしてみるとチョークで線を引いたようだ

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「入」の字のような石のベンチがあった

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反対側からだと「人」になる

「人は支え合って」云々の金八先生の名言を思い出すが、このベンチだとどうしても長いほうが短い方にもたれかかっているように見える。

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でもこうして空と撮るとおしどり夫婦のように見えなくもない

 

この志雄パーキング、すぐそばに「千里浜なぎさドライブウェイ」が走っている。

「なぎさドライブウェイ」というのは日本で唯一「クルマで通れる砂浜」として有名な所だ。

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志雄パーキングから階段でなぎさドライブウェイへと降りていける

車で行く場合は千里浜IC(インターチェンジ)を下りたところから入っていける。

通行料は無料なので誰でも通れる。最近では砂浜が減少してきたこともあって、潮が満ちていると波打ち際ギリギリのところを通行したりすることがある。

海水を浴びたり、潮風をもろに受けたりするので、通行後は車を水道水などで洗うことをオススメする。

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このように眼下に千里浜なぎさドライブウェイ

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この日は天気も良かったからか結構クルマが走っていた

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こんなものもあった

顔はめ看板だ。

日本のビーチベスト1位だそうだ。

自分で顔をはめて撮れないので…

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自分が穴から覗いて撮った

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穴から空も撮った

不思議と青が濃く見えた。

 

 

寄り道も終えて目的の駅へ

空を撮る練習も終えて再び「のと里山海道」で中島町に向かった。ナビに従って中島町に入ると、見知っている道をさらに通り過ぎて初めて通る道に入った。相変わらず田舎なところで、特に大きな目印もないので、間違えて一度その駅の前を通り過ぎてしまった。Uターンしてたどり着いたところが、

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西岸駅だ

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駅舎の裏に回っても「にしぎし」とある

たいそうにローマ字でも表記されている。

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 駅舎の中には「能登のめぐみ」のダンボールが山積みにされていた

箱には「能登海洋深層水のにがり0.025%使用」と書かれてあったが、果たして「能登のめぐみ」がどんなものなのかわからない。

誰かに聞こうと思ってもこの駅が無人駅で駅員が一人もおらず、利用客もいなかったので無理だった。

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駐輪場には自転車が2台

この日は土曜日だった。平日だと中学生や高校生の自転車がもっと並んでいるかもしれない。

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盗難には気をつけましょう

左の鳥のようなマスコットは石川県警察のマスコット「いぬわし君」だろう。

いぬわし君にはパートナーの「いぬわしちゃん」という女性シンボルマスコットもいるらしい。

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駐車場には謎のペットボトルキャップ6つ

誰が置いたのかは不明だ。あと一つあれば北斗七星だと思いながら撮った。

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駅舎の入り口そばには花も活けられていた

木製の駅舎とよく合う。無人駅だが、人の気配をほんのり感じさせる。

このほんのりが、田舎らしくて好みだ。

 

さて、この写真でもほんのりと写っているように、この駅名は「西岸駅」だ。

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すぐ目の前のバス停の標識にも「西岸駅」とある

 間違いなく駅名は「西岸」であるのに、いざホームに出て、その駅名板を確認してみると…

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「ゆのさぎ」とある

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反対側にも「湯乃鷺」(ゆのさぎ)

ローマ字でも「YUNOSAGI」だ。

前の駅も「守田」(もりた)、次の駅も「大塚」(おおつか)と案内されている。

のと鉄道の駅を調べると「西岸」の前後は「能登鹿島」駅と「能登中島」駅だ。

守田、大塚というものはない。

 

こういう不可思議な現象を目にすると『ジョジョ』の第4部を思い出してしまう自分。

ただ、ココのこれはそう奇妙な話でもない。

というのも、とあるアニメにあやかった町おこしのようなものだからだ。

駅舎の中に入ってみると、その意味がよくわかる。

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こういう

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ことだ

むかしのアニメぐらいしか知らず、特に2000年以降、21世紀に入ってからのアニメをほとんど見ない、知らない自分にとって、こういったアキバ系の文化はよくわからない。

そのため、この駅舎に入ってこれらポスター類を目にした最初の感想は

「なんじゃこりゃ…」

だった。そして、失笑していた。

 

アニメのタイトルは『花咲くいろは』だ。

2011年に放送されていた石川県にある架空の温泉街「湯乃鷺温泉街」が舞台のアニメだ。

温泉街のモデルとなったのが金沢市の「湯涌温泉街」で、劇中に出てくる温泉街の最寄り駅のモデルとなったのがこの「西岸駅」なのだそうだ。

アニメ放送時、イベントの一環として、のと鉄道アニメ製作会社の「P.A.WORKS」とによってこの「湯乃鷺」の駅名板を取り付けたらしい。

アニメ終了後、半年間はそのまま設置しておくことになっていたが、同作のファンが定期的にやって来てくれるのか、2016年の今でもそのままになっているという訳だ。

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このように

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あちこちにポスター

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駅舎内の本棚にも

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関連書籍が並んでいる

NHKでやっていた連続テレビ小説『まれ』のファンブックも置かれている。

能登だ。

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聖地巡礼者ノートも置かれていた

NO.30となっている。30冊目ということだ。

ファンからすると、この西岸駅はアニメゆかりの地として聖地のようになっているようだ。

 

これまたちなみにだが、自分が住んでいるところは「湯涌温泉」に近い。

ほぼ地元ということで、アニメをほとんど観ない自分でも、この『花咲くいろは』は観たことがある。

(ただし、連載から数年後のこと。数年後になってこのアニメの存在を知った)

アニメを見た感想は、「地元だ」だった。そして地元民だからか何だか「ありがとう」と言いたくなった。

ココに来るまで車で2時間近くかかっていて、温泉街のモデルと、最寄り駅のモデルの距離が50km以上もあることを考えると、ファンは大変だなと気の毒にも思う。

 聖地巡礼者ノートの中を覗くと、ファンたちの作品への愛がたっぷり記されていた。

アニメを見たことがあるといっても自分は熱烈なファンでもないので、下手なことは書けず、そっと閉じて元の位置に戻していた。

 

また、この西岸駅、「湯乃鷺温泉」のほかに、

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「小牧風駅」(おまきかぜのえき)という別の愛称まである

駅前に立つと望める、入り江をはさんだ高台付近のことを「小牧台」と呼ぶそうで、そこからの磯風を感じられるらしい。

 

「西岸駅」で「湯乃鷺駅」で「小牧風駅」というなんとも面倒な駅だ…

 

 

 その名称が面倒な駅の空を撮る

いまとなっては駅名板のネタだけで十分記事になったと思うものの、当初の目的どおり、空の写真も撮った。

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駅舎の前から

屋根の黒瓦を見ると、能登だなと思ってしまう。

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線路から

 

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別の角度から線路より撮ると空が変な色になった

 

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そのうち、なんとなく線路だけを撮ってしまう

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気がついたら、線路しか撮っていなかった

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ベンチはコカ・コーラ

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ホームにもちゃんと「西岸」の駅名板もある

何も知らず、初めてこの地を訪れた方なら混乱しそうですけどね。

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それでも長閑だ

 線路の上で写真が撮れるくらい電車もほとんどこない。

青い空がまた、それら紛らわしさもあっさり忘れさせてくれる。

 

最後に

個人的には、ここも石川県の七不思議に加えて良いと思った。

アニメのイベントだと言われてしまえばそれまでだが、この先数十年後、『花咲くいろは』のことを誰も知らなくなってくると、駅名板が駅名と違うというのはやはり「不思議」となるだろう。

 『花咲くいろは』の熱烈なファンではないものの、この紛らわしさ、地元民としては数十年後も残っていてもらいたいものだ。