初心の趣

カメラ初心者が石川県を中心に撮った写真をのんびりと綴っています。

石川県の珍スポット「ハニベ巌窟院」にも狛犬がいた

石川県の小松市には「ハニベ巌窟院」という全国でも有名な珍スポットがある。

珍スポット界隈では有名すぎて、今更自分が取り扱いたいとはあまり思っていなかったのだが、このたびふとしたことから足を運ぶこととなった。

当ブログで石川県の七不思議を勝手に選んでいたりする手前、自分としても避けては通れないとは思っていた。事実、自分の頭の中では、その勝手に選ぶ石川県七不思議の中の一つにこのハニベ巌窟院が早くから選ばれていた。ただ、撮りに行くにするにしても最後、できればこれ以上の変わったスポットを独自に見つけてエントリーから外したいとも考えていた。

それくらい、珍スポットとしては知られた場所なのだ。

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いきなりこれだ

のどかな田舎町、それも住宅に囲まれた細い道を車で走っていると、突然この仏像が現れる。

写真の手前側が駐車場になっており、料金を払って中に入る前から目にすることができるこの仏像、名は「ハニベ釈迦牟尼如来」という。

仏頭の高さは15メートルあるそうだ。

この日は甥っ子も同行していたのだが、彼曰く「サイコガンダムくらいの大きさ」だ。

しかもこれ、現在制作は中断しているものの、33メートルの大仏として建立することが目標だったらしい。

 

いざ、敷地に入る

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間近で見るとすごい迫力だ

胸元が開いていて入口となっているが、中は水子供養のお堂となっていた。

ここが巌窟の入り口ではない。巌窟(洞窟)はここから少し山を登ったところにある。

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横からも撮ってみた

こうしてみると穏やかな表情だ。

その手前の人の形をした像はハニベ初代院主で彫塑家の都賀田勇馬という方が作られた「銭屋五兵衛の像」だ。

土で形をこしらえ、テラコッタ(素焼き)にしたものを作る人をむかし土部師(ハニベシ)と呼んでいた(現在でいう「彫塑家」だ)そうで、このハニベ巌窟院で見られる像を作ったのは彫塑家である初代院主と二代院主なのだとか。

 

ということで境内にはいろんな像が立っている

 ここが正式な寺なのかどうなのか不明なので敷地内を境内と呼んでいいのかも不明だ。

とにかくその敷地内には像がいくつも立っている。

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白樺派のような彫刻もあれば

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仏像もある

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と思えばこんな得体のしれないものも

 ハニワなのか、それでも胸には数珠のようなものも見られるから仏教に関わる像なのか、謎だ。

そして写真でもわかるように、これらの像の側には池がある。その池にかかった橋を渡り、階段を使って山を登っていくのが、巌窟院へと向かう順路であった。

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橋を渡り

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階段を登る

 決して急な階段ではない。途中、おそらく管理人のものと思われる民家も横切っていく。

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こういうのや

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こういう仏像の前も通り過ぎていく 

これらを見ると、仏教世界に迷い込んだ気にさせてくる。

少なくとも、ここが長閑な山の寺院であると思えてくる。

いや、実際道中に「水子地蔵堂」と書かれた建物もあり、水子供養の申し込方まで案内されていたのだから、「気にさせてくれる」、「思えてくる」との表現は本来失礼なのかもしれない。

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 階段を登った先がこち

 梵鐘もある。いかにも寺らしいが、周りにやはり像が不規則に置かれている。この写真の右側にはゾウやライオンの像もあったのだからエキセントリックだ。

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案内も傾いている

断っておくが、いつもの自分の癖で写真が傾いてしまったわけではない。最初からこうなのだ。

自分としてはこの案内の傾きを見て、いよいよ怪しくなってきたと、そう思った。

案内には左「洞窟入り口」、右「阿弥陀堂」とある。受付でもらった順路の書かれた地図によると、右から行くよう記されていた。

元来、天邪鬼の自分だが、ここは素直に従って阿弥陀堂より先に進むと、ここも洞窟となっていた。

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阿弥陀堂入り口

中には阿弥陀如来像、また歴史に教科書に出てくるメジャーな仏教宗派の祖師の座禅を組んだ像が安置されていた。

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洞窟なので中は暗い

天井から落ちる水滴が時々頭頂部や首筋を濡らし、コウモリも飛んでいた。

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 入り口側の観世音の像

こちらだけ、洞窟の中ではなく外にあった。

正面から撮ると、その足元にはハニベ焼きの黒い招き猫が4体ぐらい置かれていた。

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はい、このとおり

この仏教世界は、自分がこれまで知り得ていた仏教世界とは何かが異なっている…

 

さて、再び先程の梵鐘の前に戻る。

そこに置かれた像を改めて撮ってみると、これがまたなかなかいい表情をしている。

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見ようによっては金剛力士像にもみえなくも…

ないかもしれないかも知れない。

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トンボはとまってくれる

顔のわりには優しいやつなのかもしれない。

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こちらは西田幾多郎さんの像

日本を代表する哲学者だ。

いまとなっては県民の中でも知らない人が多いかもしれないが、出身が石川県の宇ノ気町(現在はかほく市)だ。かほく市に行くと「西田幾多郎記念哲学館」という建物もある。

何故、西田幾多郎さんなのかは同郷(同じ石川県)以外、謎だ、

 

いよいよ洞窟へ

西田幾多郎の像を正面にしてすぐ左手に「隆明殿」と呼ばれるちょっとした資料館のようになっている建物がある。

安宅の関跡の義経像やそのほか海外の仏教などに関わる貴重な像が展示されていた。

その建物も抜けるとすぐ、洞窟への入口がある。

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入洞口だ

いよいよ地獄ツアーが始まる。

地獄とは何を持って地獄というのか、初めて聞く人には訝しくなる話だが、なにも過度に例えた話ではなく、その名のとおり地獄ツアーだ。

受付でもらえたパンフレットにも「洞内に繰り拡げられる地獄絵巻」と紹介されている。この洞窟内で地獄を描いているのだ。

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その前に、入口前の様子も

このように金剛力士像によって守護されている。

こんなのを見せられると、入る前からここから先は只事ではないと脅されているような気がした。

それではさっそく入ってみる。

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いきなり牛がいた

それもなんだかかわいい。

案内には「夢牛」と書かれてあった。ハニベ巌窟院初代院主が夢の中で見た牛を像にしたからその名が与えられたらしい。初代院主は牛の像を作る名人でもあったとか。小銭を投げて牛の上に止まれば願いが叶うとも言われている。

ちなみに、将来の野望はランボルギーニ(高級車。エンブレムが「牛」)に乗ることだという甥っ子は、この牛を見てニヤニヤしていた。「夢の牛」つながりでランボルギーニを連想したらしい。

地獄ツアーだと言っておきながらいきなり牛、しかもどこか愛嬌のある牛で肩透かしをくらったような心持ちだが、左を向くと、

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こんな感じ

なのだから、肩透かしなどとは言ってられない。やはりエキセントリックだ。

弁慶さんもいるし、左の方には恵比寿様も。

言うのを忘れていたが、パンフレットにはこうとも書かれていた。

「ここは地獄か? はたまた極楽か?!」と。

どうやら極楽でもあるようなのだ。

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釈迦ことガウタマ・シッダールタ太子の苦行の様子もあれば…

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天上天下唯我独尊のシーンも

釈迦が誕生した際、このようなポーズで「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言ったと伝えられている。

この唯我独尊を「俺様ナンバーワン、一番尊い」といった意味だと思っている方もいるようだが、本来はそんな意味ではない。

自分も正確には覚えていないが、過去に読んだ仏教の本によれば、たしか「身分などに関係なく人間はそれぞれ生まれたままですでに尊い」といった意味だったと思う。

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さらに進むと阿修羅像もあった

阿修羅像を見ると、自分はどうしても『孔雀王』を思い出してしまう。

マンガもそうだが、ユン・ピョウと三上博史のW主演でおくられた実写版映画が特に頭の中で蘇る。

その『孔雀王』に「地獄門」というものが出てきていたなと記憶がプレイバックしたところで…

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次には地獄門が目の前に現れた

この偶然は我ながら怖かった。

左側の牛のような地獄の門番を「牛頭(ゴズ)」といい、手前右の馬のような門番を「馬頭(メズ)」という。

牛頭が左手で右に折れろと案内しているので進んでみると、すぐ池のようなものが現れた。そこにいたのが、どう見ても…

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シーマン」だった

シーマンといって分かる人はドラゴンボールをジャンプで読んでいた世代だろう。

ドリームキャスト」というセガのゲームハードが懐かしい。

何にせよ、地獄絵図の始まりだ。

このように像によって地獄の様子が表現されているのだ。

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鬼が出てくるといかにも「地獄」

すんごい痛々しくてグロテスクなことをしているのだけど、笑えてしまうのはなぜだろうか?

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鬼の食事風景

大皿に盛られているのは人の耳だったり目だったりなんですけど、なんですかね、この鬼たちの呑気な感じ。

場末の居酒屋でおっちゃんたちが仕事後に酒を飲んで談笑している様子にしか見えない。

ただ、食事を粗末にすると、

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こうなるようです

その他にも、ヘビ地獄やいろんな罪を犯した際のそれぞれの罰され方が像として表現されていた。

その中で「不敬罪」が最高の罪としてさらし首にされていた。

不敬罪とは、その国の国王や皇帝など君主やその一族に対して名誉や尊厳を傷つけたりすることだ。

その「不敬罪」の像を一応写真に撮ったのだが、こういうときに限って上手く撮れすぎて不気味で切ない画になっていたので、掲載するのは控えることにした。

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閻魔様もいる

余談だが、受付でもらったパンフレットの裏表紙はこの閻魔様の横顔のアップだった。そのコピーも「究極の地獄めぐり」だ。

この像を前にして、自分はついにハニベ巌窟院へ写真を撮りに来てしまったのだな、との実感が湧いた。

内から湧いてくるその「実感」を自分自身で否定することはできない。ということ、どうやら認めなければならないようなのだ。

このハニベ巌窟院を「石川県勝手に七不思議」に数えることを。

 

実は狛犬もいる

 洞窟はその後、極楽を演出するような像がいくつか続く。

それら極楽の景色の写真は割愛しようと思うが、一つだけ気になったものがあったのでそれだけ上げておく。

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六色地蔵だ

七色ではないがレインボーなお地蔵さまだ。

正直、どれにお参りして良いかわからなかった。

お気に入りの色の地蔵を選べということなのだろうか?

だとすれば、アイドルの「推し」を選ぶのと似ている気がした。

さて、そうして出口へと出ると、涅槃像があるという自然公園への案内を目にする。

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出口の様子

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こちらが別れ道の案内

ただ、涅槃像はさらに山の上の方にあり、前日の天気の悪さのせいで足もぬかるんで危なかったので今回見に行くことはやめにした。(何より熊が出てきそうで恐ろしかった)

自然公園とは反対方向へ坂を下っていくと、ぐるっと回って再び隆明殿の方へと戻ってこれる。

その帰り道に、狛犬がいるのだ。

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いました

 後ろの白い建物が隆明殿になる。その手前を左に曲がったところに、先ほどの洞窟の入口がある。この狛犬、洞窟からそう遠くないところにあるのだ。

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ちゃんと吽形の狛犬

それにしても愛嬌に溢れた顔をしている。

鬣(たてがみ)だけでなくカラダの毛のあちこちでカールしているのも特徴的だ。

そのクルクル具合もナルトを体にくっつけているような滑稽さ、というか可愛さがある。

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寄れば寄るほどユニーク

なんだろうか、この口角の上がった具合は。

いなかの悪ガキの照れ笑いのようにも見えれば、したり顔のようにも見えてくるではないか。

しかも、どちらにしても憎たらしすぎない。

犬の頭をなでてやるとたまにこういう表情を見せるが、たいがいあれは信頼と友情を示している。と、自分は思っている。

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前足や爪も丸い

足が短く太く、顔つきの特徴からも出雲狛犬らしい風体だ。ただ、どこか風味が異なる。

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この角度から見ると別モノ

獣というより、おかっぱ頭で毛先がサザエさんのように派手にカールした山姥(やまんば)だ。

では阿形の獅子はどうなのか、そちらも見てみよう。

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ちょっと写真が暗くなってしまった阿形の獅子

こちらもスマイリーだ。

口があいている分、より爽やかな笑みだろう。

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そして寄るとおっさんに見える

写真の収まり方のせいもあるけど、首にくびれがない。こういうマンガのようなオジサン、たまに見かける。

この顔をじっと見つめていて思ったが、ここの狛犬はやはりどこか味が違う。自分にはハニワの要素が見え隠れして、ハニワで狛犬を作ろうとするとこうなるではないだろうかと思えてきた。

ただ、どこがハニワかと問われれば返事に窮する。あえて言えばこの丸い「目」だろうか。

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 別の角度から

 これまたじっくり見ていると、『攻殻機動隊』のレンジャー義眼にも見えてきた。

ただの狛犬のようで、観察するほど一筋縄ではいかないクセのある狛犬だ。

さすがハニベ巌窟院にいるだけはある、ということだろう。

 

ところで、このハニベ巌窟院には実はもう1対狛犬がいる。

山の階段を登る前に池があったと思うが、そこに架かる橋の欄干の切れ端に小さいのがいたのだ。

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小さいながらもちゃんと獅子に狛犬

しかも阿吽がしっかり区別されて造形されている。

おまけにその格好は今にも飛びかからん様子だ。前回にも取り上げた「逆さ狛犬」の部類だろう。

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顔つきを観察

先程の狛犬よりこの小さいものの方がより獣っぽい顔をしている。

しかも、耳が立っている。

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比べて獅子

こちらは耳が垂れている。

そして全体的に妖怪っぽさもある。

小さな狛犬も悪くない。

 

まとめ

何にせよ、思わぬところで2対もの狛犬を発見できたことに、自分としても満足であった。

入る前も入ってからもいろいろと渋るところもあったが、この満足をもって、このハニベ巌窟院を「石川県勝手に七不思議」に加えることへの躊躇いももはやなくなったのであった。

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合掌。