初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

足湯の旅 和倉温泉「湯っ足りパーク」

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とある土曜日、久しぶりに週末に晴れたので公園にでも行ってのんびりと写真を撮りたくなった。

さて、どこの公園へ行こうかと車のナビを使って石川県内の公園を調べ始めると、過去のログのせいか「ヤ行」から始まって真っ先に目に入ったのが「湯っ足りパーク」であった。

「湯っ足りパーク」はこう書いて「ゆったりパーク」と読む。

地理に疎い自分は正直これがどこにある公園であるのかわからなかったが、その字から温泉に、しかも足湯に関係していそうな予感がして迷わずここにナビをセットすることになった。

足湯そのものが随分と久しぶりであったので、無性に行きたくなったのだ。

すると、和倉温泉にあるとナビが表示してくれる。

七尾市くらいならそう遠くないということで、すぐに向かうことにした。

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到着だ

パークというだけあって公園だった。

それも海の傍にある芝生が広い公園だ。

和倉温泉は七尾西湾に面していて、能登島とも橋でつながっているのだ。

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このように橋も見える

 能登島大橋だ。

ということで向うに見える島は能登島だ。

このブログでも一度紹介した石川県唯一の水族館「のとじま水族館」がある島だ。

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パーク内には「松を守りましょう」の看板も

 守りましょうと言うだけあって、ここには松が何本も植えられていた。

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松ぼっくり

このように自然と落ちて、不自然なく公園に溶け込んでいる。

また、この公園には鳩(ハト)も多かった。

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公園内を普通に歩くハトたち

人間に慣れているのか写真を撮っていると歩きながら普通に目の前を横切っていく。

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カメラを向けてもこのとおり

こちらのことを人畜無害か石ころだと思っているのか、平気な顔。

ちょっと追いかけたくらいじゃ飛んで逃げない。飛んだとしてもすぐ目の前を飛行していってた。

遊ばれていたのか、人間に捕まるっていう危機感がほとんどなかったですな。

そんなパーク内に「妻恋舟の湯」と呼ばれる男女共同の足湯がある。 

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妻恋舟は「つまこいぶね」と呼ぶ

 俳人高浜虚子が昭和24年に和倉にやって来て、

「家持の 妻恋舟か 春の海」

という句を読んだそうで、そこから「妻恋舟の湯」という名前にしたそうだ。

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建物の外観はこんな感じ

中には自転車で来ている人もいた。

ペダルを漕いで疲れた足をふらっと立ち寄った足湯で癒すっていうのも乙ですな。

句や歌になりそうなシチュエーションだ、だと思ってしまう自分は、おそらく俳句や短歌を作ってものんびりしたものが出来上がるのだろう。

ここで適当に一句。

「ペダルこぎ しもやけるあしで 足湯かな」(字余り)

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ご利用時間はこのとおり

通常、7時から19時までだ。

基本的に毎日やっているようだが、冬季には一時休業することがあるらしい。

入浴は無料で、誰でも入れる。

地元の人も入っていれば、おそらく県外からの観光客だなと思えるカップルも見かけた。

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まずは靴を脱ぐ

中は土足厳禁だ。

 

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中にあるベンチ

障子から差し込む明りが柔らかく、ただのベンチも風情があるように写った。

 ベンチは他に3つくらいあったが、障子に囲まれているため、ファインダーを通さなくてもどれもこんな感じに見えた。

 

靴を脱いで中に入ると、すぐ目の前に横に長い小川のような足湯がある。

建物自体も大きくなく、本当に足湯のための施設だった。

しかもなかなか混んでいて、足湯は正面から見て右端しか空いていなかった。

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その右端

ここからお湯が出ている。

この付近の長椅子に誰もいなかったので、このあたりで裸足になり、ズボンをまくり上げ、腰を下ろして湯に足を浸した。

するとどうだ、これがまためちゃくちゃ熱いのだ。

浸していられないくらい熱くてすぐに足を引き上げたくらいだ。

ところが左を向くと他のお客さんたちは足を湯に浸したまま、まったりとくつろいでいるのだから、こちらとしては頭がおかしくなってくる。

昔からかなり熱い風呂にも耐えれる方だったと自覚していたが、いまの自分は熱さに弱くなったのだろうかと、首を傾げてしまっていた。再び足を差し入れてもやっぱり熱い。

頑張って我慢して、何度か足を浸けたり引き上げたりしていると、そのうち隣の男性が、

「そこ、湯が出ているところは熱いんですよ」

と、見かねて教えてくれた。

なるほど、納得だ。つまりはそういうことだったのだ。

そりゃ、この右端に人がいないわけである。

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おかげで茹で上がった

顔は出したくないが足くらないなら出す。

逆に言うと足だけ出しておけばそれなりに成り立つこの企画。

足湯の旅は、そのへんが気に入っている。

ちなみに足を冷ます際に、先程のベンチが役に立った。

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今度は左端に

ちょうど左端にいたお客さんがいなくなったのでそちらに移った。

右端と同じようになんだか湯が出ているが、足を浸してみると温度はちょうど良かった。

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足湯の様子

このように横に長い。

写真で言うと右側に靴を脱いだ入口がある。

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熱い側から撮った図

 ものの見事にみなさんこちら側には寄り付かない。

 まったりと撮っていると、この足湯の中に入りながら移動している方もいた。マネをしてみるとこれが気持ちよかった。

じゃぶじゃぶ移動して上の写真の右手前に見える椅子に腰掛けて、改めて熱い湯が出ている方へとカメラを向けてみた。

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そこだけ湯気が立っていた

これで少しはここだけ熱いのが伝わっただろうか。

 

そういう失敗さえなければ、この足湯は雰囲気も良くて、癒やしや湯治としてもカップルの憩いの場としてもすぐれたロケーションであろうと思う。

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改めてベンチ

足を湯に浸しながらベンチと障子を眺めるだけで俗世から離れたような心地になる。

 

また、足湯の真ん中あたりには景観の良い大きな窓(吹き抜け)もある。

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斜めから見たその窓

本当は正面から見ればよいのだが、その正面から見れる椅子に先客(カップル)がいたため、待つ必要があった。

あからさまに待ってますという雰囲気で待っていると急かしているみたいになるのでそれとなく足湯に足を浸しながら待っていたが、これがまたそのカップルがなかなか動かなかった。

よほど、ずっと眺めていたくなる景色だったらしい。

足がのぼせるという表現は変かもしれないが、そのうち自分の足も湯の熱さに疲れてきて、冷ましたり、また浸して温めたりを繰り返しているうちにようやくそのシート(もうカップルシートと名付けて良い)が空いた。

待って写真に収めた景色がこれだ。

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七尾湾と能登島と松と空だ

何がいいというわけではない。

撮ったのは昼間だったので、もしかしたら夕方になったほうがキレイであったのかもしれない。

それでも湯に足を浸しながら見ていると、この景色になかなか飽きが来ない。

ダラダラとその場にいたくなるのだ。

カップルたちが長くその場にい続けたのもわかる気がする。

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寄って撮るとこんな画になる

淵に上半身を預けていたら眠くなるだろう。

夜は夜でこの建物の中がライトアップされるようだし、足湯に浸しながら日が暮れるまで寝るというのもありかもしれない。

贅沢な時間の使い方だ。

足湯の旅、悪くない。そう思った。

 

 なお、車のナビの検索結果というほとんど気まぐれで出向いた自分だけにタオルを持って行ってなかった。

そのため、足は自然乾燥であった。

それでも天気が良かったからか、湯が熱かったからか、ベンチで腰掛けていると5分としない内に靴下が履けるくらいにすぐ乾いた。

タオルがなくても足湯を回れそうだが、できれば次回からはタオルを持っていこうと思う。