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初心の趣

カメラ初心者が石川県を中心に撮った写真をのんびりと綴っています。

鳳珠郡能登町で「ケロンの小さな村」を見つけた

能登町で見つけた小さな村

先日、能登町に立ち寄った。

能登町は、NHK連続テレビ小説「まれ」で有名になった輪島と、能登半島の端っこにある珠洲市に挟まれたところにある。

正確には石川県の鳳珠郡(ほうすぐん)能登町だ。

能登半島でも北の方で、金沢からだと100kmは離れている。

その日は元々珠洲市に立ち寄っていたのだが、その帰りの珠洲道路で、こんな看板を目にして思わず車を止めてしまったのだ。

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「ケロンの小さな村」と書かれてあった

米粉パン&ピザ」という文字だけを見ると、この能登町で個人でやっている小さなパン工房みたいなお店を思い浮かべるところだ。

イメージとしてはロッジのようなお店が丘の上にポツンと建っているといったものだろうか。

ところがここは、「小さな村」であって、小さな店ではない。

車を走らせながら目に入った光景は、そんなロッジがポツン云々ではなかったのである。

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坂を登っていくと建物が点在している

おまけに田んぼのようなものも見える。

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改めて看板

もう一度確認だ、ここは小さなお店ではなく、小さな「村」だ。

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田んぼのようなではなく、田んぼがあった

パン、ピザ用とあるから、ここで採れた、つまり自分の土地でコメを作って、その米粉を使って作っているようなのだ。

何だかスケールがでかい。

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カエルのオブジェもいた

こちら、運転中にも目にできた。

看板が目に入ったこともそうだが、思わず車を停めてしまったのは、このカエルのオブジェが見えたことが決め手だった。

がに股がステキだ。

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さらに進むとすべり台まであった

よく見ると手作りな感じがする。

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雲梯なども見えた

なんだか、どこかの自然公園に紛れ込んだ気さえした。

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少し離れた所から見るとこんな感じの小さな村

村としては小さいかもしれないが、パン&ピザ屋の土地としてはなかなか広い。

そして、遠くに人がいた。

最初の看板の写真を見るとわかるように、現在ここは冬季休業ということだった。

誰もいないだろうと思って中に入っていって、風景画としての写真を撮っていたら人がいたものだから少し驚いた。

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向こうもこちらの存在に気づかれた

勝手に人の土地に入り込んでいる手前、こちらとしても挨拶しないわけにはいかない。

 

ということで、こちらから近寄って、こちらから声をかけた。

ただ、その声の掛け方が、

「ここって何なんですか?」

と、聞き方によっては失礼な文言だったから、我ながらマイペースな性分だと思った。

でも、この方、そんなマイペースに一瞬戸惑いを見せたものの、次には気さくに笑顔で答えてくれた。

 

曰く、このケロンの小さな村は、地域の子供たちのための自然学習教室のようなものらしい。

年寄りの道楽でやっているのだと言う。

この方、見たところ、60歳は確実に超えているであろうおじいさんであったが、笑顔がはつらつとした方だった。

さらにこの方の名前も訊ねた。

名前を「じょうのり」さんといった。

後で漢字を調べると「上乗」さんと書くようだとわかった。

なかなか珍しい苗字だ。

パンフを頂いたので読んでみると、「つくる人・たべる人・大地」の三者が共に健康でいられる農業の新しい形を探す中で、この「ケロンの小さな村」が誕生したと書かれてあった。

誕生は2006年だそうなので、もう10年経っている。

 

上乗さんが言うには、このケロンの小さな村は4月から11月まで営業しているのだそうだ。

12月から3月までは雪がたくさん降って立入れなくなるそうなので冬季休業となる。

この日は雪らしいものはまったく残っていなかったけれど、数日前まで残雪があったらしい。

そして4月に再び営業できるように、雪でかちゃかちゃになった土地をこのようにショベルカーなどを使って整備しているという訳だった。

自分は上乗さんに、この村の写真を撮っていいかと訊ねた。

すると上乗さんは、やはりここでも気さくな笑顔を作ってOKを出してくれた。

ツリーハウスもあるので見てやってくれとも言う。

 

ということで、撮影させていただいた

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こちらはパン工房

春になると最初の看板にも書かれてあったように、この村では米粉のパンやピザ、果物を使ったジャムなどが売られるようになる(土日のみ営業)。

また、ただ食べるだけではなく、米粉のパン作りや米粉のピザ作りを体験できるそうだ。(体験は有料です)

建物の所々に見えるカエルの顔がまた個性的でかわいい。

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その隣のふれあいサロン

喫茶になっていて、コーヒーも売られているらしい。

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パン工房の裏には「子ども工作室」もあった

パンやピザ作りの体験だけではなく、木工作や竹細工の体験も有料で出来るそうだ。

営業前なので椅子などがテーブルの上に置かれたままだ。

この建物でもカエルが個性的だ。

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村の真ん中あたりにあるツリーハウスも撮りに行った

 「撮ってやって」と言われたから気兼ねなくシャッターを切っていた。

こういう一言は撮り手からするととてもありがたい。

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正面から見たツリーハウ

 なにかの顔に見える。

そしてやっぱりカエルが個性的でかわいい。この味わいは自分好みだ。

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鐘のアップ

普段は子供たちに振りまわすように鳴らされているであろうかもしれない鐘。

それでもこうしてF値を下げて撮ると情緒があるように見える。

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ツリーハウスの中の様子

南国リゾートのような風情がある。

でもここはほぼ豪雪地帯の鳳珠郡だ。

広さはそんなになく、大人が3人も入るとキツキツになるんじゃないかと思われた。

もっとも、それがまた隠れ家みたいでいい。

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ちかくに女神像もある

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さらには「天使の池」というものもあった

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天使の後方にはこんなのもありましたけどね

「すこやかケロン仏」さまだ。

平和と健康を祈ってくれている。

もう宗教がなんなのか不明だ。

こういう神様仏様女神さまを折衷させちゃうセンスもまた自分好みだ。

 

このケロン仏さまの傍に、こんな標識もあった。

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ケロン子ども森の学校だ

パンフレットの地図を見ると、「今つくってるよ!」と建設途中のような案内が書かれてあった。

ただ、それはどうやらパンフが作られた頃の話のようで、見上げると「森の学校」らしき建物が見えた。

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ということで向かった

まるで山道を入って行くような写真だが、すぐそこだ。

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途中、こんなものも

マルバマンサクを育てているようだ。

育てているようだ、なんて気楽に紹介しているが、自分自身は植物に詳しくない。正直言えば、そんな自分には何それ?だった。後で調べるとマンサクと呼ばれる植物があるらしい。

よくわからなくても、間違って採ってしまうことがないようにしよう。

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そして現れた建物

ツリーハウスだった。

屋根から木が貫通している。

さきほどのものと比べてさらに立派なツリーハウスだ。

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「森の学校 とがのきハウス」とある

間違いない、こここそが森の学校だ。

「とがのき」とは一体なのなのかとあとになって調べてみると、どうやら「栂の木」と書くようだ。そう書いて「ツガノキ」と本来は読むようで、別名「トガノキ」と言うらしい。

マツ科の常緑針葉樹というものだ。屋根から突き出た木がトガなのだろう。

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「出入ご自由」とある

よし、遠慮なく入ろう。

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入り口だ

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その上部の滑車だ

この入口の扉、滑車とロープによって、勝手にゆっくりと閉まる仕組みになっていた。

開けっ放しにならないのだ。

工作教室ではこういうものも習えるのだろうか?

だとしたら、大人も楽しめそうだ。

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いざ、入ってみた

当然、真ん中に「とがのき」がある。

ここにちゃんと「とがのき」の解説が書かれてあった。

特に能登では栂のことを「トガ」と呼んでいるそうだ。

樹皮からタンニンが採れるらしい。

自分は革製品が好きなので、革の鞣し(なめし)に使われるタンニンという言葉にちょっと反応してしまう。 

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 右手を見ると本棚

 このツリーハウス、森の学校と言うだけあって、室内には本が何冊も並んでいた。

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このとおり

ケロン文庫2(森の図書室)だ。

図鑑や児童文学などが並び、小学校の頃の学校の図書室を思い出した。

こういった書籍は、実は大人になっても楽しめる。

お子様たちに博識ぶりを見せつけるのにもたいへん役に立つ。

そういう気持ちで読んでいると、いつの間にかハマって隅々まで目を通してしまうということも少なくない。

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マンガ以外の本を集めているようだ

ふむ、学生はしっかり勉強すべきだろう。

と言う自分自身は、中学時代に昼休みになると学校の図書室で横山光輝三国志』(マンガです)を三往復するくらい読んでいたので、偉そうなことは言えない。

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ほかにも植物の解説文などが貼られていた

村長さんたちが自分で書いたのだろう。

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能登半島の地図もあった

この手作り感に惹かれる。

ちなみにこの地図で言うと、この日の行きは緑色の道路を使い、帰りは門前近くを通って中島を経由しておりました。

見ていると、自分でも地図を作りたくなる。

自分の場合、写真を撮りに行ってきた場所を示す地図になるだろうか。

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入り口そばのストーブの横にはこんなものもあった

方位磁針だ。

古いから羅針盤かと思った。

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そのストーブというのはこちら

薪ストーブだ。

田舎の祖父母の家を思い出した。

いまじゃスイッチ一つで暖房機器が作動する世の中であるので、こいつで部屋を暖めるまでの手順がとても面倒くさいものに思えてくるだろう。

ただ、面倒でもその火の起こし方を知っていれば、電気や灯油がない状況に放り出されても生き延びる可能性が高くなる。

トーブ一つとっても学習だ。

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のんびりできそうな窓辺にランプ

ここは、いろんなものに懐かしくなってしまうところだ。

そして、のんびり過ごしたくなる所だ。

のんびりが性分のマイペースな自分には合っている。

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自分が子供の時分であったなら無邪気に慣らしまくっていたであろう鐘

そんなことはしなかったいまの自分は随分と大人になったものだと、ちょっとしみじみとしてしまった。

 

まとめ

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ケロンのオブジェの背中…遠くに見えるのは水車小屋

村内にはほかにも白菜だけが植えられていた野菜畑や、支度前で遊具やベンチなどが置かれていた水車小屋などがあった。

その様子を目にすると、いまはまだ準備中であると改めて気付かされた。

運営者側からすると、本来そんな姿は撮ってもらいたくないものだろう。

パンフによればハーブ園やブルーベリー園もあるようだし、秋には稲干しも行われるようなので、営業が始まれば、この小さな村は今とはまったく違う活気のある表情を見せてくれるのだ。

本来そういった姿を撮るべきなのである。

今回、撮影を許してくれた上乗さんの気さくさにただ感謝だ。

 

自分が写真を撮っている間、上乗さんは雪でやられた土地をせっせと直していた。

最後に、作業の邪魔にならないよう少し離れた所からふたたび挨拶をした。

春にまた遊びに来たい旨を伝えると、ここでも上乗さんは気さくな笑顔を向けてくれて、「また来てください」と言ってくれた。

いい人だ。

村にあった「すこやかケロン仏」って、この上乗さんのことなんじゃないかと思えた。

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はい、また来ます

こういうところがあるとわかったら、100kmの距離も遠く感じなくなりましたね。 

春以降が楽しみだ。 

 

https://www.facebook.com/keronmura/

(↑「ケロンの小さな村」の公式フェイスブックもありました。地図なども載っています)