初心の趣

カメラ初心者が石川県を中心に撮った写真をのんびりと綴っています。

金沢市野町の古い土産屋に世界初の虹色に燃えるレインボーキャンドルが売られていた

先日、金沢市野町界隈を歩いていたら古いお土産屋さんの前で「金沢生まれの発明品 世界で初めてのレインボーキャンドル」という広告を目にした。

何だこれはと、その古い建物にはあまり似合わない随分とハイカラなPOP調の広告をまじまじと眺めていると、店の中からおじいさんが現れて「実演しますよ」と言う。

自分も物珍しいものが好きなので見せてもらうことにした。

f:id:seisyunsanka:20170718220829j:plain

 

野町にある小さなお店

そのお店は金沢市の野町にある。

野町は寺ばっかりある寺町の隣なので、そのお店の周りにも寺がいくつもある。

忍者寺として知られている日蓮宗の「正久山 妙立寺」も同じ通りにあった。

f:id:seisyunsanka:20170718220926j:plain

こちらがその通り

県道144号を進んで「蛤坂」(はまぐりざか)という信号のある交差点を曲がって入っていく路地だ。

遠くに妙立寺の看板も見える。

ほかに寺カフェをしている宝勝寺も同じ通りにある。

f:id:seisyunsanka:20170718221007j:plain

お店の名前は「辰巳庵」

暖簾からも年季を感じさせる。

入ってみると、奥の茶の間のようなところとお店がつながっていて、その奥には別のおじいさんがいた。

「実演しますよ」と声をかけてくれた最初のおじいさんも70歳を超えているだろうなと思われる高齢の方であったが、奥のおじいさんも同じくらいかそれ以上に見えた。

 

虹色キャンドルの実演

おじいさんに案内されながら、店に入って右手すぐの窓の前で実演が始まった。

実際の商品と同じものに火をつけてそのレインボーの炎を見せてくれるのだ。

f:id:seisyunsanka:20170718221111j:plain

小さなトラの置物やトックリと一緒に並べられているキャンドルの実物

キャンドルと言っても一般的に見られる長細いロウソクではない。

下に白い土台のようなものがあり、その中央から針金のようなものが伸びて、その天辺に火種のような塊(3つ爪リング)が乗っかっているという奇妙な見た目をしている。

f:id:seisyunsanka:20170718221214j:plain

下の方は蝋

なんでも、上の火種が虹色の炎を生み、虹色が終わると赤く燃える普通のロウソクとして使えるというのだ。

そう言われてもよくわからないので、実際に火をつけてもらった。

f:id:seisyunsanka:20170718221310j:plain

着火だ

見やすいように黒い棚箱の中に持っていってくれる。

この時点で普通の赤い炎とは違う色をしているのがわかる。

f:id:seisyunsanka:20170718221355j:plain

そしてこちらがその炎

レインボーだ。といっても7色ではなく4色だ。

4色でもしっかりと炎が色分けされている。

下から青(紫)、赤、黄色、緑。

理科の授業などで炎色反応というものを習ったことがあるが、自分がそれまで目にしてきた炎色反応は単色のものだった。

ネットショップなどを見ても、炎の色の違うロウソク(単色)をセットにしてレインボーロウソクとして販売しているところもある。

そうではなく、こちらのレインボーキャンドルは一つの炎の中に同時に4色いるのである。こういうのは、見たことがない。

説明してくれたおじいさんこと発明者の方が言うには、もともとカラフルな単色のロウソクを作ろうとしたのだそうだ。いろんな色のロウソクをセットにして結婚式場などで使用してもらえないかと考えていたらしい。

ところが炎色反応を起こす金属の違いによって燃えている時間が異なったりして上手くいかなかったという。

廃棄物となったそれらカラフルな単色のロウソクをまとめて処分しようと一緒に燃やした所、レインボーの炎が上がったのだとか。

それによって方向を転換して15年くらい前にこちらのレインボーキャンドルを商品化することになったのだそうだ。

偶然から生まれた炎なのである。

なお、この発明者の方、ロウソク作りを生業にしていたわけではないという。もともとは鉄鋼関係(金属加工)の仕事をしていたそうで、休みの時になにか運命に惹かれるように独学でロウソク作りを始めたのだとか。

すごいめぐり合わせだ。

f:id:seisyunsanka:20170718221710j:plain

そのうち七色の火種が台座の方へ落ちていく

虹色の火種の構造も訊ねた。

紫赤黄緑の4色は、紫はカリウム、赤はリチウム、黄色はナトリウム、緑色は銅が燃えているという。燃えて気化した時に微粒子がそれぞれの色を出すのだ。

その4つの金属は順番を計算して火種の中に並べてあるのかと言えばそうではなく、誕生秘話のときのように粉末をごちゃまぜにしてあるらしい。

ではなぜ必ずキレイに色分けされるかと言えば、おそらく温度分布によるものだろうと言っていた。

理科の授業でも習ったと思うが、ろうそくの炎には温度分布がある。炎の天辺や下部、中心部等で温度が違うのだ。

レインボーキャンドルでは必ず緑色、つまり銅が一番上に来る。燃えている時の温度が金属によって異なるのだろう。

そして少しわかりづらいが、毛細管現象によってその虹色の火種が土台まで落ちていく。

金属の粉末が燃え尽きて虹色の炎が終了し、炎が土台の蝋に引火(炎のバトンタッチ)すると、それからは普通の見慣れた赤い(オレンジ系)の炎が燃え続けることになる。

虹色の炎が持続するのは、こちらのキャンドルで約4分だ。

4分くらいしか持たない儚い炎なのだ。

f:id:seisyunsanka:20170718222259j:plain

普通の炎に

普通の炎になってからは2時間くらい燃え続けるので、普通のキャンドルとして利用できる。

虹色は儚いが、ロウソクとしては儚くない。

 

自分も購入した

f:id:seisyunsanka:20170718222400j:plain

店内の様子だ

商品用のレインボーキャンドルが並んでいた。

4分しか持たないもののほかに、15分用や30分用、60分用というレインボーキャンドルもあるようだ。

実演してもらった4分用で1つ600円だった。

テーブルキャンドルとしてはなかなかお高い。

開発者いわく、そのせいかなかなか売れないそうだ。

f:id:seisyunsanka:20170718222448j:plain

石川県の認定証もあるけど売れないらしい

平成23年度の石川ブランド優秀新製品に認定されている。

数を沢山作って儲けるのが商売。大量生産しないかという話もあったそうだが、買い取りを保証してくれますかと訊ねたところ、それは出来ないということで、今まで通りの作り方で作り続け、自分のようなPOPに惹かれてまじまじと眺めてしまうような奇特な人間、もといご縁のあった方にだけ提供しているという。

 

それにしても、ろうそく屋さんのような店内だった。

ロウソク専門のお土産屋さんなのかと訊ねてみると、ところがそうではないと返事がある。

f:id:seisyunsanka:20170718222606j:plain

お麩なんかも売られてます

このお店、そもそも開発者の方のお店ではない。

奥の方にいたもう一人のおじいさんが経営しているお土産屋さんだった。

知り合いである開発者の方がレインボーキャンドルを置かせてもらっているようで、この日のようにときどき実演や説明のために店にいるようなのだ。

f:id:seisyunsanka:20170718222708j:plain

お高いながら自分も購入

自分もお試しで4分用のものを購入した。

専用の紙袋には「世界初」の文字。

ちゃんと特許取得や商標登録も済ませてあるようだ。

f:id:seisyunsanka:20170718222754j:plain

パッケージも確認

しっかり封がされている。

封さえ開けなければ1年は持つという。

ただ、湿気に弱いものを使用しているので多湿な場所に保管しないでくれと言われた。

f:id:seisyunsanka:20170718222846j:plain

と言われていたけど家にてさっそく開けていた

その日の夜に使うつもりでいたので開けた。

こうしてみると弾頭みたいな形をしている。

下の蝋でできた土台には菊のようなデザインも施されていた。

 

虹をつかみたい

夜になってからさっそく購入したものに火を点けることにした。

その際、一つやってみたいことがあったのでビンを用意した。

f:id:seisyunsanka:20170718223446j:plain

瓶だ

直径9cm、高さ13cmくらいの円柱のビンだ。

元々何が入っていたのかはもう不明だ。

これを用意して何をやりたいのかと言えば「虹をつかみたい」である。

正確には「虹を我が手にしているような画を撮りたい」である。

自分は山田洋次監督の『男はつらいよ』シリーズが大好きだ。ファンとしては、渥美清さんが亡くなられた時に捧げられた『虹をつかむ男』という映画のタイトルのように虹をつかんでおきたかったのだ。

まあ、実際の虹はつかめないので、代用としてそれに近いものを掴むか、ビジュアルとしてそう見える画をかねてより撮りたかった訳だ。

レインボーキャンドルはテーブルキャンドルなので用途は間違っているかもしれないけれど、「虹をつかむ」のにちょうど良いと思ってしまったのだから仕方あるまい。

f:id:seisyunsanka:20170718223614j:plain

なんにせよ夜になって着火した

こちらも見事に色が分かれている。 

ビンによって炎の後ろで同じ色の反射も見られてなかなかキレイだった。

また、ビンを用いたことは引火の危険を減らすという安全面でも役に立っている。

ビンを使うことはテーブルキャンドルとして使う上でも理にかなっているはずだ。

f:id:seisyunsanka:20170718224039j:plain

ということで掴んだ

虹色の炎はつかめないのでビンを掴んでいる。

すると運良くビンの内側で炎が横に伸びたように反射してくれて、虹の子供のような画になってくれた。

ISO感度を上げすぎてザラザラした写真になったけれど、虹を我が手にしている雰囲気だけは捉えられたのではないだろうか。

 

まとめ

こんな一本で4色の炎を放つキャンドルがこの地元・金沢で10年以上前から誕生していたとは知らなかった。

誕生日やクリスマス、また結婚式など特別な日のディナーテーブルのテーブルキャンドルとして使用するもののようだけど、ほかにも色んな用途で使える気もする。

炎なので火事が起きる等を考えるとあまり無茶なことは出来ないが、可能性はあるように思う。

自分は金沢のお盆の名物「箱キリコ」(最近「板キリコ」に負けて数が減少しているらしい)に虹色の炎を使えないかと、疑似キリコを作成してみたのだが、防火上危険だなということがわかったので真似しないほうが良い。

f:id:seisyunsanka:20170718230603j:plain

習字用半紙と割り箸で即席に作った疑似キリコ

安全も考えて中にはビンも入れた。

実際にレインボーキャンドルも入れてみたが、炎の光量が足りなくて半紙に虹色が浮かんでくれなかった。

ただ、レインボーキャンドルの説明書には「オリジナルの商品化企画にも対応します」とも書かれてあった。

あの開発者のおじいさんに相談すれば、箱キリコのような行燈にも使えるようにしてくれるんじゃないかという淡い期待もしてしまう。

 

レインボーキャンドル、気になった方は一度野町に足を運んでみてはいかがだろうか。

(ちなみにネットでも販売してます)