初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

金沢市の長田菅原神社で拝殿の中から写真を撮る

金沢市には市内の主なお宮さん36社のスタンプを集めながら参拝する「金沢お宮さんめぐり」というものがあるのをご存知だろうか?

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こういうのだ

自分は今年になってはじめて知った。

知ってから少しずつまわっていたのだが、先日その1社である「長田菅原神社」に立ち寄った際、神職さん(宮司さん)の方と色々と話しをすることが出来て、流れから拝殿の中も撮影させてもらうことができた。

こういう経験は初めてだったので、そこにいた狛犬と併せて少し紹介したいと思う。

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長田菅原神社へ

長田菅原神社はその名の通り金沢市の長田町にある。

大きな鳥居が2つあり、境内が縦に長い神社であった。

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長田菅原神社だ

こちらの鳥居の側の柱には「長田天満宮」と書かれてある。

菅原神社も天満宮もどちらも菅原道真を祭神としている神社のことだ。

加賀藩の前田家は菅原道真の子孫を称していたこともあって、県内には菅原神社がいくつもある。

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牛もいた

菅原神社にはこの牛をよく見かける。「臥牛」(ねまりうし)というそうだ。

「ねまる」と言う言葉は石川県でもよく使う。このあたりでは「寝る」とか「座る」と言う意味だ。

普通、牛だけなのだが、ここの臥牛は背中に人も乗っていた。その人が菅原道真公だ。

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そしてこちらが拝殿

見てのとおり、柱が赤い。金色や緑色も見られ、日光東照宮のような鮮やかさがある。

なんでもこの神社、徳川家康公も祀っているそうなのだ。

前田利常公が徳川秀忠の娘「珠姫」(たまひめ)を正室に迎えたことが縁で、家康公も祀ることになり、このように東照宮のような社になったのだという。

もともと、この長田菅原神社は金沢城内の北の丸に建立された東照三所大権現社(明治時代の神仏分離により現「尾崎神社」)の一部だったようなのだ。

金沢城が明治時代に陸軍省の用地になったことで、東照三所大権現社こと「尾崎神社」は今ある場所(金沢市丸の内)に移築されることになり、そのとき尾崎神社の一部である護摩堂だけをこの長田町に移して長田菅原神社となったそうだ。

尾崎神社は前田利常を祀っている神社だ。珠姫、つまりは徳川家とも縁がある神社なので、その一部(護摩堂)であったこの長田菅原神社も東照宮のようなデザインなのである。

 

狛犬も目が緑

狛犬もチェックだ。自分は「金沢お宮さんめぐり」の36社すべての狛犬もチェックし、いるなら(中にはいない神社もあった)写真に撮っている。こちらも例外ではない。

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吽形と

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阿形だ

台座には「昭和十五年」と彫られていた。紀元二千六百年記念の年だ。

吽形には角があり、その片目、ならびに阿形の両目が緑色だった。

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碧眼だ

青じゃなくて緑だし、瞳だけじゃなく眼球全体に色がついているけど、碧眼と呼びたい。

平成生まれの狛犬とかだと、まだ目に白色の塗料が残っていたりするが、こんな緑色の目をした狛犬は自分としても見たことがなかった。

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首がないところもなんだかかわいい

台座が高くて見上げるようなアングルの写真しか撮れなかったが、おかげで首がない画がよく撮れた。

胸板も厚い。

 

拝殿の中へ

このように狛犬を撮っていると、宮司さんが話しかけてくれて、何だったら拝殿の中も撮って良いと言ってくれた。

中を撮っていいと言ってくれる神社ってそんなにない。神社によっては中は撮影禁止ですというところもあるくらいなので、正直我が耳を疑ったけれど、冗談でもなかった。

なんでも、ここ長田菅原神社の拝殿は重要文化財に指定されているそうなのだ。

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確かに境内にこんな看板もあった

ついでにいうと…

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こんな案内もあった

自分はもう宮司さんの生声で説明をしてもらったのでさすがに押さなかったけど、音声ガイドもあるようなのだ。

ちょっとした観光地のようなわけだ。

自分としてもまたとない機会なので、ありがたく中を撮らせてもらうことにした。

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改めて「長田菅原神社」(拝殿内)

靴を脱いで拝殿に上がってみると、中は薄暗かった。

その拝殿の中にもこのように扁額があった。

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ついでにもう一つ

この写真からも柱その他が朱色であるのがわかるだろう。江戸時代初期(1643年)に宮大工の手によって建立したこの朱色の漆の拝殿そのものが重要文化財なのだ。

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指定書もあった

金沢市によって指定されている。

この指定書によると日光東照宮のようなデザインを「日光廟式社殿」と呼ぶようだ。

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こういうのが…

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「日光廟式」というものなのだろう

なかなか見かけない色鮮やかさだ。

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こういう像もあった

金沢市内の幾つかの神社でも見かけるこの弓矢を持った坐像、弓の名人でもあった菅原道真公であると思われる。2体並べると、狛犬のように片方は口を閉じて、片方は口を開けていた。偶然だろうか? 自分には吽形、阿形に見えた。

なお、この拝殿の奥には本殿もあるのだが、文化財に指定されているのはこの赤い漆の日光廟式の拝殿のみであるという。本殿は江戸時代に建てられたものじゃないようだ。

ちなみにその本殿の方にもカメラを向けることが出来た。

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本殿と幣殿だ

拝殿のさらに奥にこれらがある。

一番奥が本殿で、手前に見える3本の台座のある部屋を幣殿(へいでん)と言うそうだ。

幣殿は本殿と拝殿の間に設けられた幣帛(へいはく)を供進するための建物なんだとか。

…知らなかった。

これは勉強になった。

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スタンプも拝殿の中にあった

神社によっては社務所で巫女さんなどに押してもらう。こちらのようにセルフで押す神社もある。御朱印とは違うので、スタンプを押すだけならお金はかからない。

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最後に拝殿の中から境内を撮影

境内から拝殿を撮ることは多々あっても、拝殿の中からこうして境内を撮るなんて自分としては初めてだ。

古民家の縁側から庭を眺めているような情緒があって、そのまましばらくぼ~っとしていたくなった。

 

まとめ

以上、長田菅原神社の拝殿の中の様子の紹介だ。

お祓いなんかで中に入ることはあっても、カメラで撮影するということはなかなか出来ないので、たいへん貴重な体験ができた。

こうして声をかけてくれて撮影も許可してくれた宮司さんに感謝だ。

去る前に御朱印をお願いしたところ、腕が悪くなっていて書けないのでスタンプで良いならとおっしゃる。自分としてはそれでも構わなかったので一つ頼んだ。

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こちらがその御朱印

これ、本当にスタンプなのだろうか? 手で書いてくれたような気がする。

少なくとも日付は手書きだろう。

ありがたい話だ。