一日ではまずすべてを回れない「奥能登国際芸術祭2020+」に三度足を運んできた。
第三日目である。
その5ではシモン・ヴェガ氏の「月うさぎ:ルナクルーザー」を紹介したい。
駐車場が分かりづらい
今回紹介するシモン・ヴェガ氏の「月うさぎ:ルナクルーザー」は上戸エリアの海沿いにある。
神社の前の小さな公園に設置されているが、小さいだけに駐車場がある公園ではない。
車で鑑賞しに行く際は近くに設けられた駐車場に停めることになる。ただ、個人的にちょっと分かりづらかったので、まずはそちらから記したい。
細い道を海沿いに走っていると見えてくる柳田神社
目的の作品が置かれている公園は道路を挟んでこの真正面にあるんだけど、駐車場に行くにはこの鳥居のある次の角を曲がっていく必要がある。
この更に細い道へと入っていく
案内板とかも出ているんだけど車を運転していると、こんなとこで曲がるとは思いもしないので、自分などは一度通り過ぎてしまっている。
曲がった先はこんな道
車ですれ違いたくない、そんな幅の狭い道だ。
空き地が見えてくる
看板も立っているのでここが駐車場となる。
写真では車が横を向いて奥から並べて停めてある。この並びだとうまく並べれば10台くらい停められるんだけど、日にちや時間によっては道路に対して正面を向けて横一列に車を並べていたときもあり、そうなると5台位しか停めれなくなるので正直、狭い駐車場になってしまって、混んでいると無駄に待たされることになる。
誘導員がいれば正しく、より効率的に車を停めれるのになぁと思った。
37番 シモン・ヴェガ「月うさぎ:ルナクルーザー」
神社の境内より
鳥居の向こう側に道路を挟んで公園が見える。
柳田児童公園だ
ブランコといった遊具なんかも置かれているが決して広くないこの公園の奥に目的の作品が置かれている。
このように
木製の月面探査用の車両のようなものがもう見える。
37番だ
エルサルバドルのシモン・ヴェガ氏による「月うさぎ:ルナクルーザー」だ。
こちら、まん延防止等重点措置が解除される前の9月にも一部公開作品として見に行くことができたもので、自分にとって第二日目にあたる9月19日(日)に一度足を運んでいる。
この緑の案内板も9月19日に撮ったものだ。
このときはまだ一部公開ということで作品の外側だけを鑑賞することが出来た。
近寄ってみるとこの大きさ
車輪なんか小さい子供よりも大きい。
ただこれ、どれも珠洲市内の空き家の廃材で作られているので、動くわけではない。
動くわけではないが、何を使って作られているのか、それらを観察するとかなり面白い。
桶だろうか?
桶か、もしくは木片を巨大な桶状に組み立ててホイールのようにこしらえている。
自分、小学校1年生の時、夏休みの工作で竹を使って亀の形をこしらえたことがあったけど、そのときの創作の楽しさが思い出された。
規模も技術もぜんぜん違うが、子供の発想を大人になっても続けているようで親しみが湧くのだ。
マフラー?
ホイールの上のマフラーみたいなものは薪ストーブで使う長い煙突だろうか?
自分の祖父の家にも薪ストーブがあったので、これと似た煙突が伸びていたのを覚えている。
能登方面ではよく使われているものなのかも知れない。
後ろ
壁面にはトタンが使われていたり、後方には浮きも装着されていた。
左側面
トタンの継ぎ接ぎのような使い方が渋い。
サビまで計算して使っているんじゃなかろうか。
乗降口のハッチのようなものも見える。
ただ、まん防中は公開が一部だけであったのでしっかり閉じられていた。
正面から
屋根に乗っている黒光りする瓦は能登瓦だそうだ。
その上には古びたパラボラアンテナもレーダー受信機のように設置されている。
右側面には木製の梯子もみえる。これもむかし祖父の家でよく目にしたなぁと懐かしくなる。
側面に使われている板は下見板だろうか?
外観を見ているだけでも廃材をリユースしたものばかりで童心をくすぐられてしまう。
しかもフロントガラスを覗くと中もコクピットのようになっているんだから、はやく全面公開してくれないかなと逸ったものである。
まん防解除後に中へ
そんなもので第三日目(まん防解除後の10月2日)にもまたやって来た
ここからは第三日目(10月2日)に撮影した写真である。
やって来てびっくりなのは、側面の乗降口のハッチだけかと思ったら、後方も窓のように開けていた。
人が顔を出すとたこ焼き屋の屋台のよう
と、見知らぬお二人が言っていた。
確かにキッチンカーのようでもある。
というか、ちゃんと中に入っていけることに興奮だ。
ハッチもちゃんとオープンしていた
木製なんだけど作りがしっかりしていてカッコいい。
こういうギミックを見るとジャッキー・チェン、サモハン、ユン・ピョウの三人が出ていた映画『スパルタンX』のスパルタン号を思い出してしまった。これって自分だけだろうか?
『スパルタンX』、小学生の頃にアホみたいに何度も観ていたなぁ。やはり懐かしくなる。
中へ
入ってみたら、なんかコンロがおいてあった。
その隣には冷蔵庫もある。
横に目を向けるとスケボーなんかも
ウエットスーツのようなものも吊るされていた。
何だ、この生活臭のする空間は… キャンピングカーか? なんてことが頭をよぎる。
天井にはスピーカーの類も
梁(はり)に縛られている黒い包はサーフボードか何かだろうか?
いや、海へ波乗りにやって来たサーファーが駆るキャンピングカーに思えてしかたない。
洗面所もあるし
趣味を楽しめれば生活もできる。
海も近いし、作者はここに住んでいるんじゃなかろうかと、最終的にはそんなことまで浮かんだ。
船首方向を見ると途端にコクピット
飛行機や宇宙船のような操縦席がそこにはあった。
外から目にした時分にはハンドルやシートくらいだろうと思っていたので、計器類のようなものやモニターやスピーカーがいくつも並んでいるこのさまには気分が上がった。
雰囲気はバッチリ
廃材を集めて作られているので実際の計器として使用できるわけではないのだけど、このおもちゃ箱から飛び出したような趣はたまらん。
これらも廃材なのかね?
ハンドルやリクライニングできるイスは実際の車のものだと思われる。
座ってみてハンドル横のスイッチをパチパチやってみたかったけど、仕切りがあるので運転席の方まで入っていくことは出来ない。
実際に座ってみることは、残念ながら出来ないのである。
遊び心ありまくり
これまたダミーで作動はしないと思うけどカーラジオやカーナビまではめ込まれている。
さらにはシフトノブ、これビリヤードの球じゃないか。
モニターにはアニメも
古代アジアや中央アメリカの神話にも共通して登場する「月うさぎ」をテーマにしたアニメだとかで、ウサギがこのルナクルーザーに乗って月まで飛んで月面探索しているアニメーションが流されていた。
夢あるな
空想がここまで広がって、その車体のイメージだけでもこうして実際に形にしてしまっているのだから面白い。
その車体がアニメーション化されて映像として流れているこのコンボ、子供心を鷲掴みますな。自分はもう大人ですけど…
これで制御しているのかな
キーボードがあった。映像関係はこれでコントロールしているのかも知れない。
これは間違いなく触っちゃだめなやつだな。
憩いの場所としてしばらく居たくなった
後ろの窓やハッチが空いているから入ってくる風も気持ちよくて、しばらくここで休憩したくなる。
イスやベッド、ハンモックなんかが置かれていたら間違いなく長居していただろう。
感想
以上、シモン・ヴェガ氏の「月うさぎ:ルナクルーザー」である。
これまた子供心をくすぐる夢のある作品だった。
子供の頃、こういう乗り物をイマジンネーションして作ってみたいなんていう妄想を良くしたもので、それを実現している作家の技量にただただ羨ましくなった。
懐かしさに駆られ、自分でも作りたくなってしまうのだけ、まあ、自分には無理ですな。
ただ、そう思わせてくれただけでも心のデトックスを出来たようでかなり満足だった。