石川県の加能ガニ(ズワイガニの雄)に今年新たに「輝」(かがやき)という最高峰ブランドができた。
基準が厳しくて幻になるかもしれないとも言われていた貴重な「輝」が能登島にある「のとじま水族館」に展示されているというので見に行ってきた。
クリスマスシーズンの「のとじま水族館」へ
のとじま水族館に行くと加能ガニの新ブランド「輝」を拝むことができる。
そんなニュースが11月にやっていた。
水揚げされた「輝」を食用ではなく展示用に県漁協が競り落としたというのだ。
生きている姿を見てもらいたいとの思いがあるらしい。
そんな貴重なもの、自分だって見てみたい。
ということでのとじま水族館に
12月19日に行ってきた。
展示が始まったのが11月19日からであったので、ちょうど一ヶ月後だ。
大雪になるかもしれないと言われていた天気の荒れた日だったけど、加能ガニ(ズワイガニ)の寿命っていつまでなのか自分も知らないので、年内中に見に行こうと思い立ったらこの日になってしまった。
幸いにも雪は大したことなかったんですけどね。
ちょうどクリスマスシーズンで、当水族館でもクリスマスイベントが行われていた。
水槽もクリスマムード全開
海底にだってサンタがやって来てくれそうではないか。
ジンベイザメもこのように
水槽の中の「サンタをさがせ!」
なんてものも行われていたりしていた。
本館の水槽に小さなサンタがいるのだ。
このように
自分もこれ、数えてみたんだけど、解答用紙に書かれていた4択の数字のどれとも合わなかったので挫折した。
自分、探索能力があまりないらしい。そういえば「ウォーリーをさがせ」とかも得意じゃなかった。
ペンギンたちもツリーとともに
いつ見ても可愛い奴らだ。
君ら近いよ
羽で叩かれるとかなり痛いみたいだけど、この近さがたまらない。
イルカ&アシカショーも
クリスマスショーに。
コース料理を味わうようなプログラムになっていた。
いつ見ても高い
相変わらずのジャンプ力。
イルカの筋肉ってほんとどうなっているんだよって毎回感心してしまう。
アシカも登場
クリスマスソングに合わせてベルを鳴らしていたけど、上手いものだった。
楽器を弾けない自分なんかよりもよっぽど上手いだろう。
アシカに対抗意識を燃やすわけじゃないけど、こういうのを目にすると、自分もなにか楽器をしたくなるんだよね。
アシカも飛ぶ!
打点が高い!
こんなに飛ぶんだっけ? と、ちょっと驚いた。
飼育員の人の倍近い高さまで飛んでいるんじゃなかろうか。
跳躍力でも勝てませんな。
そんな姿をより大きく撮りたいので、もっといい望遠レンズがほしいところだ。
加能ガニ「輝」を拝む
水族館内のクリスマスイベントをなんやかんやと楽しんでしまっていたわけだけど、今回の一番の目的は加能ガニの新高級ブランド「輝」を拝むことだ。
それは本館の「深い海の生きものたち」のコーナーに展示されているようなので向かった。
本館の道中にはこんなポスターも
加能ガニ「輝」というブランドを今年より新たに設けたのはいいけど、基準が厳しすぎて「本当に会えるのか?」「本当に居るのか?」「本当に獲れるのか?」と言われていたのだ。
ちなみにその基準は、
・重量1.5kg以上
・甲羅幅14.5cm以上
・全ての脚がそろっている
・甲羅が硬く、身入りが良い
・鮮度の徹底 (獲れた日をタグに記載)
・資源管理に積極的に取り組んでいる
この6項目。
すべてを満たしていないと認定されないのだ。
でも、こちらで展示されていることからもわかるように、ちゃんといたのだ。ちゃんと獲れたのだ。そして、ここでちゃんと会えるのだ。
展示場所はこちら
深海の生き物たちのコーナーなので、このあたりは館内の中でも水槽がひときわ暗い。
暗すぎてオートフォーカスが働きづらくカメラ泣かせだ。
水槽の前に説明書きを
水槽の上部に貼られた加能ガニの最高峰ブランド「輝」に関する説明だ。
この説明書きを撮影するだけでもところどころ見えづらくなってしまうくらいこのあたりは暗いのだ。
これによると「輝」という最高級ブランドは石川県内全域のズワイガニ漁師(底引き網漁業者)による投票で決まったそうだ。
11月6日に解禁となった初日の加能ガニの全体の尾数は29520尾で、その中で「輝」に認定されたのは1尾しかいなかったというんだから希少性の高さがよくわかる。
ニュースにもなっていたが、初競りで付けられたその1尾の値段はあまりのレア度から驚きの500万円。
加能ガニ史上最高額なんだそうだ。
なお、500万円で競り落としたのは湯涌温泉の百楽荘だ。百楽荘ってたしかアニメ『花咲くいろは』の劇中に出てくる「ふくや」っていう旅館のモデルになっていたところだったはず。
こののとじま水族館で展示されているものは500万円で競り落とされたものとはもちろん違い、11月17日に加賀市沖で水揚げされたもので、底引き網漁船「第二大栄丸」が獲ったものだそうだ。
重量は2.01kgで面の大きさは16.6cm
基準値より結構大きい。
県漁協が40万円で競り落としたんだとか。
認定されるとこんなタグが付く
加能ガニ「輝」専用のタグも展示されていた。
石川県内の伝統工芸である九谷焼でできている。
個人的に自分も欲しくなるタグだ、これがカニの腕に付けられるんだから贅沢度が高い。
さっそく、拝もう
暗いので分かりづらいかもしれないけど、右手前にて赤い灯りに照らされているのが「輝」だ。
これまた見えづらいかもしれいないが、左奥には以前よりこの水槽にいたという普通サイズの加能ガニもいる。輝からすると先輩にあたる。
遠近さはあるけど、その2匹の大きさの違いがわかるだろうか。
いや、分かりづらいかもしれない。
分かりづらいからか、飼育員の方が気を利かせて水槽内に餌をくくりつけた竹の枝のようなものを入れて先輩ガニの方へ誘導していた。
誘導される最高級ブランドの後輩
現場で見ていると、なんか相撲の「八艘飛び」(はっそうとび)をしているように思えた。
そういえば相撲界にも石川県出身の「輝」という力士がいるなぁと、ふと思い出す。
でも、相撲界の「輝」は大柄の力士だ、八艘飛びなんてジャンプするような技は、同じ石川県出身力士なら「炎鵬」とかがしそうだなと、変な連想が始まってしまった。
小さい先輩加能ガニが炎鵬に見えてきたくらいだ。(あ、でも、相撲界の炎鵬関と輝関は同い年です)
輝が炎鵬に対して飛び技を仕掛ける… なんとパラレルワールドな光景だろうか。
飛びすぎてこっち側にまで来てしまう40万円の後輩
ここまで近づくとその大きさの違いがよく分かる。
やはりというか、デカい。
面の大きさも違えば、何よりその足の太さが違う。
実がたくさん入っていそうな、食欲をそそるような太い脚をしているのだ。
左腕(前足)には九谷焼の専用タグもくくりつけられている。
一緒につけられている青色のタグは加賀市橋立港のものだと思われる。
比べやすいように座ってくれる最高級な後輩
先輩、後ろ向いちゃってすねているみたいじゃないか。
それくらい「輝」が堂々として立派に見えてしまう。
それにしても座ると王者の風格みたいなものがある。
と思ったら再び飛びかかる後輩
もう大きさの比較は十分だっていうのに、こうしてサービス精神を発揮して移動しようとしてくれるんだから、やんちゃだ。
王者の風格なんて記したけど、アクティブで若さあふれるやつだった。
これだけ活きが良く動けるやつなら、食べるとさぞかし美味しいのだろう。
その大きさを拝みに来たつもりだけど、結局自分のこの目は食べ物としてみてしまっていた。
一匹数十万円以上もする最高峰の加能ガニ「輝」、果たしてどんな味がするのか、一度は食べてみたいものである。
口の中がカニ味を求めていたので
以上、のとじま水族館で拝んだ石川県のズワイガニ(雄)「加能ガニ」の最高級ブランド「輝」の姿だ。
その大きさは並の加能ガニと比べると別の種類かと思うくらいデカかった。
自分は石川県のカニといったら、もうちょっと安くて小さい「香箱ガニ」(ズワイガニのメスを石川県ではこう呼ぶ)をイメージするし、よく食べるのだけど、その香箱ガニと比べると、この「輝」は怪物である。
怪物だけど美味そうで、結局食欲をそそられたことはご容赦いただきたい。
でも、そんなもので、拝んで水族館を出た後、自分の口はカニを食べたくて仕方なくなっていた。
ちょうどお昼ごはんもまだだったし、舌がカニ味を強く求めていたのだ。
ということで帰りに七尾市の食祭市場に立ち寄っていた
道の駅「能登食祭市場」だ。
今年で30周年なんだそうだ。もうそんなに経つんだね。
その建物の前のテントで…
カニ味噌汁が売られていた
1杯300円。
もう「輝」じゃなくても、加能ガニでなくてもなんでもいいから蟹の味を口の中が求めていたので…
一つ購入していた
カニの半分がドンッと入った味噌汁だ。
器から足が大胆にセクシーにはみ出しているじゃないか。
味噌汁だけど、その汁の中にはしかと蟹の味が出ていて美味かった。
こんなものを食べたせいからか、身の部分も食べたくなって…
館内で寿司まで購入
ズワイガニの寿司だ。1パック500円。
どんだけカニ味を求めていたんだと、自分でも恥ずかしくなるけど、目に入ってしまった以上、食べずにはいられなかったのだった。
いただきます
カニ、美味い…
別に最高級ブランドじゃなくても、この季節のカニはやっぱり旨い。
石川県人で良かったなとつくづく思う。
と同時に、石川県人からすると、カニはたとえ最高級の「輝」でも観賞用ではなく食べ物として見てしまう。そのことを今回強く自覚するのだった。
海の幸に感謝、そしてごちそうさま。