9月23日~11月12日まで珠洲市で行われていた奥能登国際芸術祭2023。
芸術祭そのものは終わってしまったが、鑑賞旅で目にして感じたもの、撮りためた作品の写真を最後まで綴りたい。
前回、第二日目を終え、今回から第三日目がスタートだ。
飯田エリアで見逃した作品を
奥能登国際芸術祭2023の続きを観に自分が三度、珠洲市へ向かったのは10月7日(土)だった。
前回、第二日目が直エリアの旧珠洲駅で展開されていた作品で終えたのだけど、その一つ前の飯田エリアで一作品スルーしてしまったものがあったので、この「第三日目」はその作品から始めた。
そこ、飯田エリアの中でも他の作品とやや離れたところにあったので、失念してしまっていたのだ。
ということで朝から飯田町へ
ここは「すずなり西口」の交差点から北上した道路だ。
目的の作品展示場所も8番らーめんの隣りにある。
ここだ
かつて祭り用のドテラなんかを扱っていた旧「まえの衣料店」なんだとか。
ただ、後で知ったことなんだけど、5月の大地震前は別の場所で展示予定だったらしい。
震災による被害のため、予定していたところは使えず、展示場所をここに変えたそうなのだ。
地震の影響はそんなところにも来ていた。
ちなみに駐車場は少し離れたところにある
この建物の前はもちろん、隣のお店の駐車場に停めても駄目だ。
この看板にもあるように240メートルほど手前で左に曲がると空き地に誘導されるので、そこに停めると良い。
実は第二日目のときにその駐車場まで来ている(二日目の時の写真)
ここまで来ていたけど、公開時間終了5分前だったので、第三日目に持ち越したのだった。
28番 ソル・カレロ「La tienda Maeno」
28番だ
作者のソル・カレロさんはベネズエラ出身の女性の方で現在ドイツで活躍しているアーティストだ。
作品名の「La tienda Maeno」は、日本語訳をすると「まえの衣料店」になるんだそうだ。
この場所そのものだ。
受付は入り口そばにある。
中に入ってみると…
南国気分だ
壁や装飾、家具がトロピカルなものばかりだ。
この色使いはソル・カレロさんらしいものなんだとか。
これだけ見ると、どこか赤道に近い国の家屋のようにも思えてくるが、冬になると雪が強風に乗って横殴りに吹き付けてくる奥能登・珠洲市の古民家だ。
入って左手、最初の部屋には畳とハンモック
ハンモックや壁の絵を見るとやはり南国の雰囲気を感じるのだけど、その足元は畳だ。
ジャパニーズ畳だ。
お陰で沖縄の民家のようにも見えてくるが、ここは石川県、能登半島の最果て、珠洲市だ。
反対側には作業台
こちらではモザイクタイルの制作体験ができ、作ったものを実際に固めてしまって、部屋に展示することもできる。
最初の部屋の隣がタイルの部屋になっている
その床に、制作されたモザイクタイルが敷き詰められている。
体験で作ったものはどうやらそこに並べてもらえるようなのだ。
まあ、床がこんな感じなので、この部屋だけは入れない。
ドテラだ
しかもなんてカラフルな花柄なんだ。
ここの雰囲気にあっているけど、よく見つけてきたなと思う。
その部屋も抜けると反対側の壁に大漁旗も
トロピカルな世界に、珠洲の香りがドォォーンとミックスされている。
すごい世界だ。
ここを仕切りに…
奥はこうなっている
小上がりの座敷にはここでもハンモックがぶら下げられてあった。
しかもこのハンモック…
使ってOK
スタッフの方が教えてくれると、みんなして利用していた。
ただし、体重制限はある。
80kgまで!
もちろん座敷は土足厳禁だ。
小上がりの手前にはこんなスペースも
TVモニターが壁に掛けられ、それを数人で見れるように座布団のようなものが並べられていた。
あ、座布団じゃなく、コンバインの袋でしたか
自分は祖父母が兼業農家をしていて米を作っていから知っているんだけど、これ、稲刈り用の機械である「コンバイン」で使う、刈った稲から脱穀して貯まる籾をどんどこどんどこ入れていく袋だ。
子供の頃、よく手伝っていたけど、籾の入ったこの袋、抱えると腕が後で痒くなるんだよね。
ここでは中に柔らかいものが詰められていて、クッションのようになっていた。
TVモニターでは海外のドラマが流れていた
なんでもこれ、ソル・カレロさんが脚本、監督もしているドラマなんだとか。
ついでにいうと本人が出演しているというから驚きだ。
多才ですな。
ちなみにドラマのタイトルは「お庭から(Desde el Jardin)」だそうだ。
メロドラマだ。
自分もハンモックに乗って
ドラマを見ようじゃないか
このハンモック、ほんと気持ちよくて、家に一つ欲しくなった。
ドラマを見るのにももちろん最適。
あまりにリラックスできるものだから、時間を忘れてこのままここにいたくなったくらいだ。
いや、作者としても、それを狙ってのこのハンモックなんだと思う。
壁の時計たちがそれを象徴している
壁にかけられたこれらの時計、どれも止まっている。
ソルさんがこの珠洲市にやって来たとき、時間が止まったように見えたんだそうで、そこから着想を得て、今回のインスタレーションを作り上げたんだとか。
時を忘れていのだ、ここでは。
最後にモザイクタイルを触ってみる
最後に、作業台にあったモザイクタイルにも触れてみた。
床に貼ってもらいたいわけではないので接着まではしなかったが、タイルを並べて文字を作ってみた。
「オレ」の文字を作ってみた
う~む、無理があるだろうか?
自分でも出来があまり良くなかったので接着までには行かなかったのだけど、こういう体験もできたんですよということを記しておきたいのだ。
ちなみにこのモザイクタイルづくりにハマってしまうと、これまた時間を忘れていろんなデザインに挑んでしまう。
ほんと、時が止まってしまう空間でした(気がついたら、いつの間にか「時がすっ飛んでいます」けどね)。
第二日目の終わり際に無理して入らず、第三日目に持ち越してよかったと心から思う。