いしかわ動物園のトキ里山館にて公開されている朱鷺(トキ)のペアが初めて卵を産み、その卵から雛(ヒナ)が孵った(かえった)らしい。
現在、朱鷺は繁殖期に入っていて羽も黒くなっている。五羽いたトキ里山館も繁殖に専念させるために一組のペア(「Iペア」と呼ばれている)だけの展示となっていた。(他のトキたちは園内の別の施設で飼育されている)
そのIペアに子供ができたわけだ。
雛がかえったのは 5月22日のことで、その週の末あたりには里山館にて雛を公開するのではと言われていた。
HPを見る限り事前のお知らせはなかったものの、いるかもしれないと思った自分は週末土曜日にいしかわ動物園に立ち寄ってみた。
2017年になって少なくとも3回はやってきている。
年間パスを購入してあるから入園料は気にしない。
ちなみに、この日5月27日は中学生以下が無料になっていた。
まっすぐトキ里山館に向かうと木の枝に巣ができていた。
大きな巣だ
つがいのトキもちゃんと近くに二羽ともいた。
この巣、なんでもオスがほとんど一人でせっせと作ったそうだ。
今年のこのIペアはなかなか子作りを始めなかったそうで、巣作りそのものも例年より一ヶ月遅かったとか。
特にメスのほうにやる気がなく、本来オスが巣の材料を集めてきてメスがセッティングするものなのに、今年のこのIペアはメスがほとんど動かなかったようなのだ。
それでも産まれた卵、孵ったヒナ
展示されているヒナは一羽だけだ。
しかも孵卵室にて人工的に温めて孵った。
何でも卵は三個あったものの、一個を親鳥が異物と間違えて捨ててしまったそうだ。
ところが巣の近くの黒ネットに引っかかって割れずに済み、それを飼育員さんたちが回収して孵卵室で温めたのだとか。
巣の中を偽卵にすり替えて、しばらくしてから孵った雛を巣に戻すことに成功したそうだ。
トキのペアからしてみれば、ある日突然卵が雛になっていたわけだが、上手く騙されて子育てをしている。
ただ、メスの方は巣作りだけではなく子育てにも最初参加しなかったらしい。
原因は不明だ。トキの更年期障害だろうかと園長さんは仰っていた。
それでも、前日の5月26日にメスの方も巣の雛を抱き始めたので、一般公開へといたったそうだ。
その雛をもう見れるかもしれないと勘だけで足を運んだその日が里山館で産まれた最初の雛の一般公開初日だったのだから、自分はなかなか運がいい。
どうせなら、その雛を写真に収められないかと自分はカメラを構えるのであった。
ヒナを撮りたい
トキの子育てはオスとメスの交代でする。くわえて一度柔らかくしたエサを上げるだけではなく、産まれて間もない雛も巣の上で抱いていた。
そのせいで巣の上で座り込まれるとまず雛が見えない。
雛を見るには、彼らトキが交代をするときや気まぐれで巣の上にて立ってもらわなければならなかった。
園長さんが言うには、朝から見ている限り20分から30分くらいの間隔で立っているそうだ。
運が良ければ里山館に入ってすぐ雛を見ることができる。運が悪ければ待つ必要があるのだ。
自分にとって「待つ」で思い出すものといえば、初めてこのトキ里山館がオープンした昨年の11月19日に足を運んだものの、近くで見れる止まり木までトキたちがやってくるまで数時間掛かり、自分はそれを長々と待っていたことだ。
また待たされるのだろうかと、不安が脳裏をかすめるのだった。
すると立ち上がるトキ(※ピントが合っていなくて申し訳ないです)
自分が里山館に入ってそう時間も経たない内に立ってくれたのだ。
これはチャンスだと思ってシャッターを切ろうとして、目の前のネットのお陰でオートフォーカスが上手く働かず、手動で慌てて撮ったらこんなピントずれの写真になった。
いずれにせよこのポジションからでは小さな雛を自分のカメラとレンズで捉えることができない。
自分はすぐに、巣の近くの長方形や丸の形をしたフィールド観察できる窓の方へと移動し、接近して雛を撮ろうと試みた。
すると…
巣に一番近い窓がフタで閉じられていた
トキを警戒させず子育てに専念させるために閉じられているようだった。
他の窓はフタが開いていたのでそこから撮ろうとすると、今度は角度の問題でトキや巣が見えづらい。
こんな感じで半分くらいしか見えない
この丸窓が一番近くて鮮明に撮れるだけにこの視野の狭さは口惜しかった。
別の窓ではまだ広く見えるが…
ネットや窓のフレームが邪魔をして肝心の雛をカメラで捉えることができない。
そうこうしているうちに、トキはオスメスで交代して再び巣の上で座ってしまう。
次のシャッターチャンスまで、結局待たされることになったのであった。
またかと思いながら、それでもヒナの写真も撮りたいしで、自分としても根気よく待つことにしたのだった。
待ってみると、園長さんの言うとおり本当に20分から30分くらいで立ち上がってくれる。
さて、立ち上がってくれるが、窓のある角度の問題から結局撮るのは難しい。
自分はそのうち、レンズを向けながらそこに確実にいるヒナがもっと見やすい、もっと撮りやすい位置に巣の上を移動してくれないかと祈っていた。
動いてくれないと、いつまでたっても撮れないのだ。
ヒナが動くのを待ち、待っているうちに親に座られの繰り返し…
根比べ、再びであった。
親子二代で我慢比べをしたわけである。
自分の敗北
その結果を言ってしまう。
自分のほぼ敗北である。
ヒナが自力で動く気配もなく、前回のように飼育員さんが登場してどうにかしてくれるものでもないので、早々に諦めていた。
それでも待った甲斐があって、小さいながら、また見づらいながら、ヒナの姿を捉えた写真を数枚撮ることができた。
わかるだろうか…
ヒナがいるのが…
自分にはこれくらいが限界だったのだ…
親ははっきりと撮れるのに…
敗北だろう。
なお、写真に撮ろうとするから難しいのであって、親トキが立ち上がっている時にその雛をくっきり見る方法があった。
離れたところにスコープが置かれているのだ
自分も覗かせてもらったが、この望遠鏡、そうとう性能が良いようで、距離が離れているのにその場にいるかのようにトキたちが見える。
間にある防護用のネットも関係なく、くっきりと見えるのだ。
見えすぎて、それはもう感動ものであった。
オマケ
トキの雛をまともに撮ることは出来なかったので、代わりにカバの池でコビトカバの子供を撮ってきた。
コビトカバはジャイアントパンダ、オカピとあわせて「世界三大珍獣」と呼ばれている希少な動物だ。
コビトカバの赤ちゃん「ミライ」くん(オス)
昨年(2016年)の12月に産まれた子だ。
こっちもかわいい。