石川県の能登地方で一番高い山と言われているのが、宝達志水町、津幡町、かほく市、富山県の氷見市や高岡市にも跨がる宝達山だ。
その高さは637メートルある。
同じく石川県にある白山が2000メートルを超えているので、比較すると、また全国的に見ても決して大きくない山であるが、大きすぎない分その山頂には行きやすい。
徒歩はもちろん、自転車で登る人もいれば、頂上まで続く車道もある。
クルマ(自動車)でも行けるのだ。
先日、宝達志水町に寄った際に、麓から試しに車を走らせてみた。
「モーゼの墓」があるので宝達山には何度も足を運んだことがあるものの、この山の山頂に行ったことがなかったので、てっぺんに何があるのか、何が見えるのか知りたくなったのだ。
道中の地図
山頂へと登るルートは色々とあるようだが、自分は国道159号線から入った。
金沢から宝達志水町に向かう時によく使う道だ。
159号線を走っていると、宝達志水町内にて「宝達山頂」と書かれた看板を見かけるのでそこで曲がって山の方へと向かっていくと良い。
こんな山道を通る
決して険しくはない。
このように狭いながらも舗装された車道がある。
宝達山では近年クマ出没注意の看板が掲げられるようになっているので、車で行けるというのは遭遇の危険を考えてもありがたいのだ。
登っていった先に
対向車が来ると道を譲り合うのが大変な細い車道を登っていくと、そのうち大きなパーキングに出る。
寄り道パーキング
トイレもあるし、「山の竜宮城」という休憩所もある。
こちらがその宝達山頂休養施設「山の龍宮城」
このログハウスでは宝達山の季節の情報を知ることができ、ドリンクやコーヒーなども売られている。お店の方が軽く食べれるものも作ってくれるので、特に徒歩や自転車で登ってきた人にはとても助かる施設だ。
大型連休の時は来客も相当多かったらしい。
また、この森の竜宮城のある場所でも標高600メートルあるらしく、テラスからは宝達志水町の町並みも展望できる。
テラスがある
ここからの眺めが気持ち良い。
遠くには日本海も望める。
県内でこんなに景観が良いところはなかなかないと思った。
でも自分の写真ではその良さが伝わらない
実際に見るのと撮るのとでは違ってくる。
黄砂が飛んでいたと言い訳したいところだが、これが今の自分のカメラの腕の限界だ。
ついでに顔はめパネルも見つけた
宝達志水町のマスコットキャラクターに「ほっぴーさん」というのがいるようだ。
この時初めて知った。
宝達山はいろんな市に跨っているが頂上があるのは宝達志水町なので山をキャラクターにしたい気持ちは…よくわかる。
さて、このパーキングから頂上まではもう近い。
山頂への案内
高さで言えばもう数十メートル登っていけば山頂に到達する。
傾斜が30°あるところも
スキー場みたいな坂を、エンジンに鞭打って登っていく。
すると再び駐車場がある。
駐車場と言っても、車を2台くらいしか停められないただの小さなスペースだ。
そこにたどり着くと目の前にこんなものが見える。
鳥居だ
熊出没の看板も見えているけどね。
さらにこれを正面に右手に向いて顔をあげると…
もう一つ鳥居が見える
立派な鳥居だ。
見るからに新しいのは、昭和47年に建立した鳥居が腐食してしまったため、昨年(2016年)11月にたくさんの方々の奉賛金を得て改築したからのようだ。
まだ半年くらいしか経っていないのだ、そりゃ新しい。
鳥居の足元はちょうどスカイツリーと同じ高さ
634(ムサシ)メートルだ。
車とは言え、エンジンを喚かせながら苦労して登ってきているだけに、スカイツリーのデカさがどれだけすごいか、石川県にいながらなんとなく理解できた。
ちなみに自分はスカイツリーに行ったことはない。
鳥居があることから、また写真でももう見えているように、この先には神社がある。
しかも山頂の標高637メートルに対しこの時点で634メートルであることからわかるように、鳥居の奥の坂を登っていった先(高さ3メートルくらい先)が頂上になる。
つまり、この宝達山頂には神社があるのだ。
神社だ
お堂のような小ささの拝殿だ。
「手速比咩神社 上社」(てはやひめじんじゃ かみしゃ)という神社だそうだ。
御祭神は「手速比咩神」だ。
神社そのものは宝達明神、もしくは宝達権現と称されている。
手速比咩神社は社が2つあり、上社というのは宝達山の頂上にあるからで、宝達山の麓の方に「手速比咩神社 下社」と言うものもあった。
さらにはこんな山のてっぺんにありながらちゃんと狛犬もいた。
山頂の狛犬を撮る
まずは左側の吽形の狛犬から
パッと見た限り、いわゆる岡崎現行型と呼ばれるスタイルをしている。
最近の神社ではよく見られる形だ。
損傷しているところもあまりなく、きれいな方だ。
台座に彫られた文字を見てみると、平成元年に出来たものらしい。
狛犬としては若い。
顔も漫画チック
その表情も、凛々しさの中にどこか今どきのマンガやアニメっぽい可愛らしさがある。
平成生まれだ、時代が出ていますな。
背中だ
鬣(たてがみ)や足の毛のクルクルがクルクル度アリすぎてほぼ半球体だ。
刺々しいより丸みのほうが可愛らしさがでるものだ。
ところどころ雨染みのような物が見えるようになっている。少しずつ年季が出ているようだ。
この染みが年月をかけてもっと広がっていけば味わいになりそうだ。
阿形の獅子もチェック
この角度から撮ると阿形の方は頭部が大きく見える。
吽形の方も三等身くらいでサイズ的にも日本のマンガっぽかったが、こちらは胴体と頭部のバランスがより非現実的だ。
吽形のほうが少女漫画のような可愛らしさがあるのに対し、阿形のほうは赤塚不二夫先生の作風のようなギャグっぽい要素が見受けられる。
その顔をアップ
失礼な言い方だが怖いというより「ひょうきん」に見えてしまう。
口の開き方というか、口の端の形というか、ゆるさというか、そのあたりにもギャグマンガっぽい印象があるのだ。
でもこう撮るとまだ愛嬌が出る
撮るポジションを変えただけなのに吽業と変わらないかわいい系のマンガっぽさが出てくれる。
さらにこう撮るとちょっとイケメンに
角度を変えただけだが爽やかだ。
同じように吽形の方も改めてその顔に寄って撮ってみた。
するとそれまで可愛く凛々しいと思っていたものが…
悩んで疲れているように見える
能面と同じように狛犬は角度によって表情が変わるいい例だと思う。
そんな彼らが見ている先が…
頂上からの景色だ
ただし間に鉄柵がある。そのせいで、狛犬からでは景色が開けて見えない。
吽形の悩んで疲れているような表情が、実は見えないことを嘆いている顔にも思えてきた。
最後に頂上の展望を撮る
彼ら、特に吽形の狛犬が見つめている先を歩いていくと開けたところに出る。
そこには一等三角点も置かれ…
展望図も設置されていた
これらを目にすると、頂上に来たんだと思えてくる。
立山の標高が3015メートルなので、宝達山としては見下されている格好だが、まあ気にしない。
景色が良ければなんでも良い。登った甲斐があるというものだ。
その景色の良さを写真に収めてみた
でも、やっぱり、なんか違う。
実際に目にした景色の感動が、この写真では伝わらない。
なぜ遠くが薄ぼけたようになるのか不明だ。
もう黄砂のせいにしておきたい。