珠洲市にて9月3日より始まった「奥能登国際芸術祭2017」に、初日だけでは飽き足らず一週間後の9月9日にも足を運んだ自分。その9月9日の様子を記している「のんびりまわる第二日目」その7だ。
「第二日目」はこれで最後となる。
今回載せるのは、公開時間もだいぶ過ぎた後に撮った写真だ。
この奥能登国際芸術祭の作品は基本的に9時半から17時までが公開時間となっているが、中には日没からも見に行ける作品もあり、第一日目の昼間に見に行ったものの夜には見に行けなかったそれら作品(計2作品)を改めて見に行ってきたので紹介したい。
ついでに、もう一つ夜に立ち寄った場所もあるので、そちらもおまけとして紹介したい。
夜間鑑賞可能な2作品
第一日目にまわってきた作品の中に夜も鑑賞可能、つまり本来は夜に見にきたほうがいいですよといった作品が2つあった。
一つは上戸エリアにあった30番の作品。(その様子は→こちら)
もう一つは宝立エリアにあった32番の作品だ。(その様子は→こちら)
特に上戸エリアの30番の作品は受付の方に夜に来たほうが良いと言われ、黄色の案内の写真を撮るのも忘れていたくらい流して鑑賞していたので、少なくともここだけは来なくてはいけないと思っていた。
以下、それらの写真を並べていく。
夜の30番 ラックス・メディア・コレクティブ「うつしみ」
黄色の案内、撮りました
第一日目に撮り忘れていたこの案内をちゃんと撮ってきた。
外灯もない暗いところであったのでどうやって撮ろうか苦労した。
自分、恥ずかしながら内部ストロボの使い方をまだ良くわかっていない。
どうやるんだっけ?とあれこれカメラをいじっている時に、他のお客さんが懐中電灯で照らしてスタンプを押していたので、お願いしてついでに照らしてもらったのだった。
書かれてあった作者名の「ラックス・メディア・コレクティブ」というのはユニット名(会社名かもしれない)だ。メンバーの3人はインドのアーティストだ。
こちらが夜の「うつしみ」の姿だ
昼間見た時は捕獲ゲージが旧駅舎の上に乗っかっているように見えた(失礼)が、夜になってその骨格が青白く光っているのを見ると、まるで旧駅舎が幽体離脱しているようだった。
使われなくなって忘れられていく駅舎が霊になってこの地を照らそうとしているのか、それともいままさに天に召されようとしてこれが最後の輝きなのか、はたまた別の…と、解釈は人それぞれであろう。
ちなみに自分は「天に召されようとしたら家屋に引っかかって離脱出来なくなったのでこのまま照らすわ」という事情があるように解釈した。
背後から撮影
なんだろうか、このファミコンで描かれた夜景のような趣は。不思議と懐かしくなってきた。
下から見た図
駅舎に近寄ってこの距離で見ることもできる。
ますます8ビットで描かれているように見えてきた。
こういうのもレトロと表現していいのだろうか。いや、そうしたい。
夜の32番 アデル・アブデスメッド「ま-も-なく」
続いては宝立エリアの旧鵜飼駅にある32番の作品だ。
こちらは第一日目の午前中に黄色の案内を撮ってあるので夜には撮らなかった。というか、暗すぎて撮れなかった。
夜の「ま-も-なく」だ
気のせいだろうか、こう夜のほうが「まもなく」何かが起きそうな雰囲気が増し増しになって見える。
それも、陽気な何かではない。妖気のある何かだ。
貫通する棒も光っている
光る角のようにも見える。
ドラクエ11の空飛ぶクジラにもこんな演出があったような…
中の様子だ(写真が傾いてしまったけど)
窓の闇に光の棒が映っている。あちこちの窓に映っているので光の筋が色んな方向に拡散しているかのようだ。
それでもぼんやりと光っているから妖しさがある。
ふと、夏に七尾駅から乗った「怪談列車」のことを思い出した。
怖いというのではなく、なんだか人知れずワクワクする景色だった。
昼間と雰囲気がぜんぜん違う。夜に見に来て良かった。
(ただし、特に外側に突き出ている光の棒は夜である分、虫がすんごく寄ってきているので、虫が苦手な方は注意が必要だ。自分としては、カブトムシやクワガタが寄ってきてくれないかなと期待していた。いなかったけど…)
銭湯へ
最後はおまけだ。
おまけというのは、これもまた第一日目にできなかった「宝湯の風呂に入る」を果たしに行くことだ。
宝立エリアの31番の作品がこの宝湯の2階で展示されていて、展示中も1階の銭湯の方は営業中だ。第一日目に作品を見たついでに入るという手もあったのだが、鑑賞客が多くてそのときは遠慮したのだ。
夜の宝湯だ
自分が到着したのは夜の7時半くらいだった。
「わ」の文字も掲げられていた
OPENしてますよという意味の一字だ。逆に「ぬ」が掲げられていると準備中だ。
暖簾をくぐると、すでに上がり終えてベンチで休憩していた別のお客さんがいて、その方に挨拶をされた。こちらも挨拶をすると「貸し切りですよ」という。
本日は貸し切りで使えないという意味ではなく、今は誰もいないので「貸し切り状態」ですよという意味だ。
その方も上がってしまって自分以外、お客がいないというのだ。
番頭をしていた方も、この時間は一番空いている頃だという。その番頭さんに中で写真を撮ってもいいですかと聞くと「ここはいつでもどこでも撮影OK」と言ってくれた。さらには「なんなら女湯も誰もいないはずなのでそこも撮りますか?」という。ただ、本当にいないのか、その番頭の方も男性(50~60歳くらい)で確認のしようがないのでさすがに遠慮した。
とりあえず男湯へ
そしてすぐに曇った
カメラを抱えながらの入湯はさすがに無理がある。
脱衣所にカメラをおいて(いくつか鍵付きの棚もある)、体を洗って湯に浸かることにした。
桶はケロリン
昔ながらの銭湯らしく期待を裏切らない。
天井がつながっている
第一日目に写真を撮ったときにも思ったが、これ、女湯を覗けるやつではないだろうか。むかし読んだ『らんま1/2』を思い出してしまった。
それにしても、こうして銭湯を利用するなんて何年ぶりだろうか? にわかに思い出せないくらい久方ぶりだった。
銭湯といっても、ここのお湯は温泉だ。しかも薪で焚いているという。
湯船の中はいくつか段差になっていて、深いところでは立った状態で股下あたりまであった。
おかげでどっぷりと浸かれた。温泉だからか薪で焚いているからか、浸かっていてホクホクとしてきた。その日に歩いた疲れ、また最近ハリキリ過ぎてたまっていた体の疲れが癒されていくようだった。
あまりに気持ちいいし、誰もいないしで湯の中で寝落ちしそうになった。
結果、少しのぼせた。
脱衣所にあった体重計
こちらもレトロ感あり。
乗ってみると、体重がずいぶんと落ちていた。60kgを切っていて我が目を疑った。
ハリキリすぎて食べる時間も寝る時間も削っているとこうなるようだ。危ない危ない。
なお、脱衣所には現当主と思われる若い男性の方と、そのお子様であろう男の子がいて、話しかけてくれた。この奥能登国際芸術祭のお手伝いをすることで充実した時間を過ごされているようだ。ボランティアでもなんでも参加するって、やっぱり楽しそうですな。
話している時、自分の反応(返事)が少し遅れていたのは、のぼせていたからです。申し訳ないです。
なんにせよ、気持ちよかった。来れてよかった。
まとめ
以上、のんびりまわる第二日目のおまけだ。
これにて第二日目に見た作品の紹介も終わりだ。
第二日目その1の冒頭であらかじめ記したように、計二日間掛けてもすべての作品をまわることはできなかった。
二日間掛けてまわった成果
スタンプだけで言ったらまだ7つ残っている。
まあ、イベントである39番だけは日時が決まっているのでどのみちもう1回来なければならないので、ちょうどいいペースと言えばちょうどいいペースなのかもしれない。
第二日目は寄り道も多く、それでもこれだけ回れるのだから、むしろ上々であろう。
39番のチケット(別売り)もすでに買っているので、再びこの奥能登国際芸術祭2017に足を運ぶのは10月に入ってからだろうか。もしかしたら気まぐれでその前にも足を運ぶかもしれないが、いずれにしても鑑賞した後はまたこのようにブログで紹介したい。
二日間で計32スタンプ。1日平均16スタンプ。それで残りは7スタンプ。
第三日目はきっと寄り道だらけだろう。その点は予めご容赦いただきたい。