冬前になると石川県羽咋郡志賀町では「ころ柿」と呼ばれる干し柿がよく作られる。
志賀町のふるさと納税の謝礼品にも含まれていたその名物「ころ柿」を志賀町にある道の駅に立ち寄った際に買い、さらには吊るされている様子も見てきたので紹介したい。
道の駅へ
志賀町には「ころ柿の里 しか」という名の道の駅がある。
当ブログでも足湯がある道の駅として「足湯の旅」で紹介している。
(足湯の記事は→こちら)
その駅名からも、志賀町がどれだけ「ころ柿」に力を入れ、発信しているかわかるだろう。
「ころ柿の里 しか」だ
夏に足湯で足を運んだときには気づかなかったが、この案内板の背後には柿がなっていた。
横を向いたらさらにいっぱいなっていた
この季節(自分が足を運んだのは晩秋)だからこそ見られるのだろう。
柿だ
先に告白しておくと、自分は柿が食べれない。
あまり好き嫌いのない人間なのだが、子供の頃からスイカ、メロンと並んで柿が嫌いだ。この三つはどうしても食べれない。おかげでむかし誰かに「人生損している」と言われたこともあるが、無理なものは無理だ。口に入れた瞬間にオエッと拒否反応を示してしまうのだ。
ただし、その三つの内「柿」に関しては、生はダメだけど干し柿は好物だったりする。
我ながらひねくれた舌を持っているものだと思う。
干し柿は子供の頃に祖父がよく作っていたので、バクバクと食べていた。
干された後だと「柿」の中の自分がアレルギーを起こしてしまう成分(味)が飛んでしまっているからか、体が拒否しないのだ。
ということで、この道の駅でも「ころ柿」を求めた。
敷地内の「旬菜館」という名の物販所に売っていた
足湯のときにも足を運んだ同道の駅の物販所だ。
以前はここで「ころ柿ソフト(クリーム)」を食べている。
今回は「ころ柿味」ではなく「ころ柿」そのものが狙いだ。
こちらがそれだ
シーズンなので売られていた。
3Lサイズのものが4つ入って1350円だった。
これまた白状すると、干し柿というものは子供の頃からよく食べていたが、この志賀町の「ころ柿」というものは食べたことがなかった。
以前からずっと食べてみたくてしかたなかったのだ。
吊るされている様子を見に行く
食べたこともないなら吊るされている様子を実際に見たこともない(テレビでならある)。
ということで購入した際、レジの方に「ころ柿」が吊るされている様子をどこかで見れないかと訊ねたら、西山IC(のと里山海道)の近くの部落に行けば民家で吊るされているので見れると教えてくれた。
そこまでの道順や目印まで教えてくれたので、親切な方だった。
道順に従って進むと、途中少し迷ってしまいながらも、そのうち「穴口」という場所にたどり着いた。
「穴口」のバス停
このあたりを歩いていると確かにいくつかの民家の家の中で柿が干されているのが窓越しに見えた。
そのうちの一軒で明かりがついている家があったので、ノックしてみた。
変なやつが来たなと思われたかもしれないが、吊るされている干し柿を見せてくださいと頼むと見せてもらえた。
さらに図々しくも写真を撮ってもいいですかと頼むと…
OKしてくれた
これが干されている「ころ柿」だ。
これはまだ一部だ。ほかにもまだ部屋のあちこちで吊るされていて、橙色のカーテンを掛けたようにキレイだった。
アップで
志賀町の「ころ柿」は原料は西条柿を原種とした系統から選抜された地場の柿品種「最勝柿」(さいしょうがき)だそうだ。完全渋柿だそうなのだが、それが干し柿に合うのだそうだ。
柿を収穫し、皮を向いて糸をくくり室内に吊るして乾燥させる、それら加工の行程をすべて手作業で行っている。
自分が目にしたこちらは干してだいぶ時間が経っているからか、だいぶしぼんでいる。
丸っとしているカキが、干すことでここまで細くなっていくのだ。
ちなみに自分が訪れたとき作業中だった。干されている部屋は暖房がきいていて暖かく、寒気が入ってくるので扉はすぐに締めてほしいと言われた。温度とかも関係あるのかもしれない。
それにしても、こうして見れて、また写真を撮れて嬉しい。キレイだったし、いい思い出になった。
言ってみるものだ。OKしてくれたその家の皆さんにほんと感謝だ。
食べる
買ったものは帰宅してから食べることにした。
初めての「ころ柿」
持ったときの感触はブニブニ系だ。ただし、硬めのブニブニ系だ。
ものによっては表面に白い粉のようなものがついていることがあるが、それは果実内のブドウ糖がにじみ出て結晶になったものなので、食べても全然問題ない。
食べた
かじってみると硬すぎず柔らかすぎずでちょうど良い。むかし祖父母の家で祖父が趣味で作っていたものは干しすぎて固くなっていたことも多々あったので、それと比べるとさすが製品、といった食べやすさだった。
その食感を例えるなら羊羹のようなものだ。
ただ、外側がやや固めで中が柔らかめなので、外側も内側も一緒に食べて初めてそのような食感になるといえる。
最後の方は外側だけ食べることに
食べていくとヘタの近くは外側だけになる。
外側だけを食べると干した果実独特の硬さ(といっても簡単に噛み切れる)がある。
味は、砂糖を使っているわけではないので甘みにくどさがなく、ほのかに残る果実の風味と自然の糖分をやさしくいただける。
もともとは渋柿なのに、どうしてこんなに美味くなるのか不思議だ。
そしてどうして柿嫌いの自分の口が拒否反応を示さないのかもやっぱリ不思議だ。
わずかに生の柿の風味がするのに、この干されて凝縮された自然の甘みがその苦痛を消してしまうのかもしれない。
消してしまうくらい、ようするにこの「ころ柿」も美味いのだ。
食べやすく美味いので何個でもいけてしまう。
ただ、甘みにくどさがなく食べやすいと言っても、糖分が凝縮されていることは確かで、調子に乗って一気に何個も食べるとすぐに血糖値が上がってしまうだろうから、その点は気をつけた方が良い。
見れる場所を教えてくれた道の駅の人、撮影させてくれた生産者の皆さんに感謝の気持ちを込めて、ごちそうさまでした。