奥能登国際芸術祭2020+で目にした作品の紹介、第三日目その9だ。
今回は飯田エリアにある、金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]による「いのりを漕ぐ」を扱いたい。
2017のときと同じ場所
「静かな海流をめぐって」をテーマに金沢美術工芸大学の教員と学生によって結成されたアートプロジェクトチーム[スズプロ]は奥能登国際芸術祭2017のときも作品を出している。
活動は2017年以降も継続していて、今回の2020+では新たにデザイン科のメンバーも加わって新作も登場しているという。
前回の作品も鑑賞できるということで、展示場所も2017のときと同じであった。
場所は肉の福田屋さん隣の旧八木家
ここも駐車場らしい駐車場がないので、ラポルトすずに停車して歩いてやって来た。
距離も遠くなく、商店街の散歩だと思っているとすぐに着いてしまった。
ここだ
作品番号が書かれた緑の案内板も入口前に置かれているのでわかりやすいかと思う。
この玄関、懐かしい
この簾も2017のときと同じだ。
案内板の色以外、殆ど変わっていないのではないだろうか。
そういえば4年前のときも近くに自転車が停まっていた気がする。
(4年前の芸術祭のときの記事は→こちら)
30番だ
作品名が5つある。
そのうちの「いのりを漕ぐ」が新作だ。
残りの4つは過去作だ。
砂の床も懐かしい
長い簾が下りているところも一緒だ。
これ、「家に潜る」っていう作品名だったはず。
砂浜を歩いているみたいで気持ちいいんだよね、ここ。
受付の場所もきっと一緒なんだろうなと思っていると…
やっぱりそうだった
感染防止のためリストバンドチェックといった手間は増えているけど、4年前と同じなので妙な安心があった。
ここで作品の場所、鑑賞順路を教えてもらえるので、それに従って進むといい。
順路に従うとまず過去作3作品を鑑賞でき、最後に今回の新作1作品を観ることができる。
順に紹介したい。
過去作を久しぶりに順に巡る
まずは奥の蔵の方にすすむ
入り口から真っすぐ進んで突き当りを右に曲がるとこの蔵の方にゆける。
その中に作品の一つ「いえの木」が置かれている。
置かれているではなく、吊るされている
蔵の中は相変わらずの暗さでカメラ泣かせなところだが、僅かな光をたよりに撮影できると達成感がある。
今回は撮れた
以前は、木ではなく吊るされているからどちらかというと木の実だろう、なんて感想を抱いたけど、2回目になるともう何かの繭に見えて仕方ない。
古民具が養分になってこの蔵を支えているみたいではないか…
支える… やはり「木」なんだろうか。
宇宙の真理を見ているように混乱してきた。
次の作品に行く
順路2に従うと、突き当りに「奥能登曼荼羅」という作品を鑑賞できる。
この部屋
正確にはこちらも蔵だと思う。
奥能登の悟りの境地だ。
やはり宇宙だ。
換気?
こんなご時世だからか開いていた。光がさしている。
前回、こんなところを見上げたことなかったなぁ…
細かいところまで見てしまった
キリコ祭り、コロナ禍のせいでことごとく中止になっちゃって自分としても夏の楽しみがなくなってしまっているので、ここで代わりに拝んでおいた。
鳥だ
こんなところに鳥の絵があったとは前回気づかなかった。
光がさしているからか、天井だってよく見える。
ほかにどんなものがいるんだろうか?
どんどん「ウォーリーをさがせ」を読んでいるような目で見てしまった…
順路3へ
「こめのにわ」は外にある。
本当に庭で米を育てているから愉快だ。
今年も実っている
いつ見ても、米って庭でも作れるんだね、と感心してしまう。
祖父母がかつて米作りをしていて、「稲=水田」のイメージが強いのでこの光景は不思議でならない。
ススキをかき分けるように稲穂をかき分けて飛石を進むなんて、百姓の孫の自分にはメルヘンのようにも思えてしまうのだ。
これぞアートだ!(自分にとっては…)
30番 金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]「いのりを漕ぐ」
こめのにわを抜けるとこちらの部屋に
この先にデザイン科のメンバーも加わって制作された新作がある。
何だこの機械は
新作の展示部屋に到達するその手前でこんなものを見つけた。
製粉機か何かだろうか?
触ってみたくなるけど、そういう奴がいることをわかっていらっしゃるのか、「お触り厳禁」だった。
なんか見えた
奥の一室に木でできた、スケボーのパークで見られるクォーターパイプのようなものが所狭しと置かれている。
オリンピックのスケボー、若人たちが大活躍していたなぁ、なんて思いながら眺めていた波のような形をしたこれが…
「いのりを漕ぐ」だ
新作だ。
しかも上がっていける
この作品、外側から見るだけではなく、靴を脱いで上に立つことができる。
アトラクションみたいじゃないか。
やはりパークにも見えてくる。
注意書きあり
靴は置いて上がるのではなく、手に持って上る必要がある。
他にも作品の上は滑りやすいため、足腰に不安のある方は上がることはオススメしていない。
また、天井が低くなっているところがあるので頭上にも注意が必要とある。
承知したので自分も上がってみた
能登ヒバで出来ているのでゴツゴツだ。
手を模しているようなので「手のひら」、または波の形をしているから柔らかそうだとの憶測をすぐに裏切ってくる。
表面も波打ったようにいびつなので、丸みがかったところが土踏まずに当たると青竹踏みみたいで結構気持ちいい。
健康器具かと一瞬思う。
頭上注意
うむ、確かにこれは背の高い人なら頭を打ってしまう。
しかもその足元が一番滑る
注意書きにもあった天井が一時的に低くなったその真下が、一番滑ると書かれていた窪みの部分になるのだ。
難所のコンボ技みたいになっているのでこれはどういう罠なんだと思ってしまう。
それくらい、実際、窪みのところが滑る。
頭を気をつけながら滑るのこらえろって、体幹強くないと背の高い人はどっちかにやられるだろう。
波乗り並みに体幹使うんじゃなかろうか。
しかも自分の手には靴の他にカメラ、肩にはカメラバッグも下げている状態だったので手でどこかにつかまりながら移動ということもしづらく、足腰と体幹だけでバランスを保つしかなかった。
これはもうアトラクションじゃないか。
いや、でも、きれい
やはりアートか…
この出口に注意
いま戸が閉まっているけど、この背が低い出口で頭をぶつけていた女性がいた。
ぶつけていたので閉められた。
滑る難関をクリアして安堵しても、この出口の低さで頭を打ってしまうなんてことも有り得るので油断はできない。
やはり罠系のアトラクションじゃなかろうか。
出口
2020+では入口と出口が別になっていて、出口を出てしまうと再入場できなくなるので注意が必要だ。
注意が多い気がするが、まあこれもアトラクションというものだ。違うかもしれんけど…
出口を抜けると目の前にカラフルな家が
作品とは全く関係のない家屋だと思うけど、派手な壁をした家があった。
虹だ。
何のご褒美だと思ったが、アトラクションクリアのご褒美だと勝手に受け取った。
いいですな。
感想
スズプロの新作「いのりを漕ぐ」、実際に上がれ、観るだけでなく触れることもできるのでアトラクション的要素もある。
実際、頭を打つかもしれない、滑るかもしれないという危険との格闘は、体幹を中心に体力を使った。
でも、それだけに通り抜けて鑑賞し終わったときの達成感は他の作品とも一味違っていた。
隣に福田屋精肉店があるので…
買い食いした
こちらはチキンカツ、一つ80円(税込)。
昼の時間をすぎていたのでこれしか買えなかったが栄養補給が出来た。
体力回復。
こういう事ができるのは商店街だからですな。商店街ステキだ。