小松市の5月のお祭り「お旅まつり」が近い。
ということで、執り行う2つの神社のうち莵橋神社に参拝してきた。
相変わらず狛犬目的であるが、あわせて境内の様子も紹介したい。
お諏訪さんこと莵橋神社へ
子供歌舞伎で知られる小松市の「お旅まつり」は「お諏訪さん」こと「莵橋神社(うはしじんじゃ)」と「山王さん」こと「本折日吉神社」の春季例大祭だ。
ここ数年は自分も毎年まつりの方へと足を運びながら、それら神社へ昼の明るいうちにちゃんと参拝しに行ったことがなかったので、この度その一つ莵橋神社に行ってきた。
莵橋神社だ
お旅まつりの情報も載った看板も掲げてあった。
2019年は5月10日、11日、12日だ。
ここには二年ほど前、祭り当日の夜に宵の宮に誘われて足を運び、古そうな狛犬がいるのも目にしている。その際は暗くて撮影できなかったので、そのときより一度は昼間に見に行きたいと考えていた。
(二年前のお旅まつりの様子の記事は→こちら)
参道の様子
この莵橋神社、決して小さな神社ではないが、大きな神社でもない。
拝殿(本殿)までの距離も短すぎず疲れすぎない絶妙な距離だった。
高い松の木が何本も植えてあって、この季節、歩いていると木陰が気持ちいい。
道中の石碑
「外發栄華」とある。外に栄華を発するという意味らしい。
も一つ石碑
こちらは「地平天成」。世の中が平穏に治まり、全てのものが栄えるという意味だそうだ。
道中、手水舎も
ひとまずここで手と口を清めた。
この手水舎の前も過ぎるともう拝殿だ。
見えてくる拝殿
この日は境内の掃除もされていたようで、正面に枝を集めた二輪車も見えるが、これも一つの神社の景色なので自分は結構好きだったりする。
もう見えているとおり早速狛犬がいる。
こちらの神社では境内に数対の狛犬がいた。
以下、一対ずつ見ていきたい。
参道の狛犬
右の阿形
左の吽形
参道の狛犬だ。
木陰もあって光量の調整が難しかった…
この形からすると、いわゆる岡崎現代型と呼ばれるものだろう。
台座を見ても「昭和九年六月吉日」と彫られていた。
やはり昭和だ。とはいえ九年はなかなか古い。同じ岡崎現行型でも平成に入ってからのものと比べると表情がまだ愛嬌があるというか、マイルドに思えた。
立派な尻尾
炎系の尻尾。このデザインにも昭和初期の古さを感じさせる。
それでいて毛のクルクル等々状態がいい。
木々のおかげで風雨から守られているからか、または掃除をしっかりされているからか、きれいなものだ。
古い岡崎現代型として、自分の中ではなかなか価値があるなと思えた。
拝殿前に隠れてもう一対
参道を抜けて拝殿前にやってくると、狛犬がもう一対いる。
それがまたなかなか奇特なところにいる。
拝殿到着
新元号「令和」の文字が掲げられてある。
今上陛下(平成天皇)の退位は寂しいけれど、次の天皇(徳仁さま)即位も、皇室ファン(表現が不敬かもしれないけど)の自分としては楽しみでならない。
ちなみに拝殿前に撮影用台が置いてある
拝殿をやや下から撮影できる。
基本的にスマホ用に置かれてあるようだ。一眼レフのでかいデジカメを設置しようとするとちょっとやりづらかった。
ここに立って右の方に目を向けると、もう一対の狛犬も目にできる。
いる
よほどワイドなレンズじゃないと撮影用台からでは社とともに入らないような位置にいる。
しかもパッと見、一体しかいない。
左の方にはおみくじやお守りが売られているところがある
はて、もう一体が見当たらないのだ。
これはこれでレアだと思ったら…
いた
人見知りする子みたいにこんなところにいるんだから見落とすところだった。
奇特なところにいる子だ。
では右の阿形からチェック
その分厚い胸筋、首元のドラえもんの鈴のような飾り、金沢市の石浦神社などで見かけたタイプのものだ。
おそらく同じ人、同じ一派の人が作ったものと思われる。
腹回りはスタイリッシュ
結構細めで、肋が浮いたようにすら見える。
鳩のような熱い胸と比べるとボンッ!キュッ!とかなり差がある。
こうして胸が見える正面と見えない後ろ姿では別犬のようである。
爽やかな一枚
陽光がしっかり降り注ぐところにいるのでこうした明るい写真が撮れる。
その顔もマンガチックでどこか晴れやかだ。
比べて左側の吽形
日陰にいるからか、なんか暗そうに見える。
頭に角もあるので歯ぎしりしている鬼のようでもある。
でも近くで見ると…
その顔は阿形同様にどこか漫画チック。
太陽光の下だと、このタイプの狛犬の顔って陽気に見えるようだ。
歯ぎしりしていると思われた吽形の閉じた口も…
こうして見ると歌って踊るジャマイカンみたいに陽気に見える
日陰にいるからか鼻先にちょっと青カビのようなものも生えているけど、こちらも状態がいい。
台座を調べてみると「昭和十九年三月」と彫られてあった。
参道の最初の岡崎現代型のものより少し新しいようだ。
岡崎型って結構古いものもあるんだなと、これと比較して勉強になった&感慨深いものがあった。
昇龍の松の後方にもう一対
拝殿の右の方にいた狛犬のその背後にはひときわ背の高い松の木が見える。
「昇龍の松」というもので、そのさらに後方の社にも狛犬がいた。
昇龍の松…でかい
デカすぎて写真に収めるのがなかなか大変だった。というか収まりきれていない。
収まりきれていないのでカリン塔みたいに天まで続きそうな印象がちょっとある。
この右後ろに小さな祠のようなものがあるのだ。
はい、このとおり
狛犬もいる。
周りに他にもいくつか社があって比較しやすいと思うが、祠は小さい。
それに合わせてなのか、前に置かれている狛犬一対も小さめであった。
小さくても凛々しい吽形
こちらも岡崎現代型だと思われる。
台座等に年月が彫られていなかったので作られた正確な時期はわからないが参道のものと雰囲気が似ているので昭和初期くらいの古いものなのではないだろうか。
勇ましい阿形
逆光が厳しいところにいたからか撮りづらかったが、おかげで妙な迫力が付いた。
身は小さいけれどこの顔の荒々しさは歴戦の猛者のそれのようだ。
でも手はちっさい
顔は大人のそれのようでも手はまるで子供だ。
背中も子供っぽいかも
肩幅ありません。
ちょこんと座っていると従順で大人しそうだ。
可愛いものである。
変なところに変わったもう一対
この莵橋神社の境内にはまだもう一対、狛犬がいる。
最後のそれらもまた変なところにいてその姿もまた変わっていたからちょっと驚いた。
最後の一対も小さな祠のようなところに
白山神社と書かれてあったがこれがそうなのだろうか。
なんにせよその脇というか、建物の間というか、変なところにいる。
体育館横に置かれた体育器具のように置かれているから罰当たりのようにも一瞬思えた。
でも、ここ境内だし… 変な気分だ。
そんな気分にさせてくれた狛犬の姿が…
こちら
笑っておる。
いや、阿形だから口を開けているだけなのだけど、笑っているようにしか見えない。
日の当たらなそうな建物の隙間にいるわりに、余裕があるな。
しかもその容姿、あまり見かけないタイプのものだ。
顔はそれほど大きくないものの、それ以上に体が細い、前足も細い!
すんごくスリムな狛犬だ。
こんな狭いところにも置けるのも納得だ。
なんとか横から撮影
横から撮ろうにも撮影者である自分が隙間に入れないのだから困った。
変な角度で撮ったものを見てみると、体は細くてもガリガリというわけではなく、毛のクルクルも可愛らしくくっついている。
どことなく女体をイメージしてしまう体つきだ。
顔はウルトラ怪獣みたいだけど
なんだか昭和の特撮モノの香りすらする。
顔が緑がかっているものの状態も良い方ではないだろうか。
対となる吽形もチェック
こちらは物陰からこちらの様子を伺っているかのようである。
スパイや忍犬みたいなやつだ。
でも斜めから見るとすんごく楽しそう
この角度からだとどう見てもスマイルしているようにしか見えない。
マックの店員になれそうな笑顔だ。
なにか笑えるものでも見えるのだろうか。
こちらの一体は建物に挟まれているわけではないので横や背後からでも簡単に撮れる。
後ろ姿、こうなっているのか…
現実に、こういうスタイルした犬、いそうだ。造形がリアルな犬に近い。
後ろ側に垂れた耳もかわいいものだ。
毛もサラサラしているように見えるからますます女体も連想してしまう。
顔はこんなですが
見ているこちらまで笑ってしまうスマイリーフェイスだ。
ちなみに台座を見ると「大正七年十月」と彫られてあった。
これまでで一番古いものであったのだから驚きだ。
いや、こういうあまり見かけない顔をしたものはだいたい古い。
もっと敬意を持たなければと、自分などは反省してしまうが、古いものほどユニークだから狛犬って愉快なものである。
最後に御朱印を
以上、莵橋神社の狛犬を中心とした境内の写真だ。
歴史のある神社だからか、その狛犬もどれも古いものばかりで、且つユニークで個性的な、狛犬好きとしては勉強になるものばかりであった。
どれもレアだ。
おまけに置いてある場所もちょっと斜め上だった。
格式高そうでいてそう見えない所が自分としては親しみが持てる。
町の、庶民の神社なんだよなと改めて思う。
参拝しに来てよかった。
その参拝の記念として、今回久しぶりに御朱印ももらうことにした。
当神社の御朱印は社務所ではなく境内にある(もしくは隣接する)「諏訪会館」で授与できる。
最初の鳥居まで戻る
写真でいうと右手奥に見える建物が諏訪会館だ。
当神社で結婚式を上げる時、本殿で神前式をして披露宴をその諏訪会館でするようである。宴会場みたいなところだ。
記念撮影とかもできるとのこと。
許可をもらって中も撮影させてもらった
雰囲気ある。
ただの参拝客である自分などはちょっと場違いのように思えてきたけど、ここの受付で御朱印をいただけるのだ。
こちらがいただいた莵橋神社の御朱印
ブライダル会場の案内役のような受付の女性の方が書いてくれたんだけど、力強い字なのでちょっと驚いた。
その方には押されている判についてなどいろいろと教えてもらえた。
なんでも拝殿の屋根から大きな松の木が突き抜けているそうで、押されている判子もそれを描いているのだとか。
撮影中はまったく気づかなかったけど参拝してきた拝殿の屋根に松の木が見えるそうなのだ。
ということで、帰り際に改めて見に行ってきた。
ほんとだ、確かに出てる
言われるまで気づかないよ。
だいぶ枯れているものの樹木医さんによるとまだ大丈夫のようである。
狛犬も変なところに居たりしてたけど、松の木も屋根を突き破っているのだから愉快な神社だ。
拝殿前に置かれていた撮影用台って、もしかしたらこの松の木も含めて撮るためにあったのかね?
当神社に参拝しに来た際は、この屋根を突き抜けた松のこともチェックしてみてはいかがだろうか。
今後も楽しく過ごせそうなご利益がありそうである。